こんにちは。
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最近(いやちょっと前なのかな?)「名刺代わりの10冊」というのが流行っていると聞いたので、私も選んでみました。
なかなか10冊に絞り込むのは難しかったですが、一人の作家で一作品というルールがあるらしいので、その方式で選びました。
今現在の記録として残して置こうと思います。
5年後、10年後、新しい作品がランクインするといいな。
それだけ魂を揺さぶる、心を掴まれる作品に出会え、人生が豊かになったということになると思うので、この先どんな作品に新たに出会えるか、とても楽しみです。
ではでは、【私の名刺代わりの10冊】です。
感想は当時、読んだ直後に読書メーターに書いたものです。
《小暮写真館》宮部みゆき著
小説史上最高に愛おしいラスト、物語のすべてが詰まった700ページの宝箱、という帯に惹かれて読みましたが、本当に私の史上最高の物語でした。
宝物のような物語です。
この作品以降、物語が読みたくて、もっともっと物語に出会いたくて、小説を読む習慣が深まりました。
そんなきっかけになった大事な本です。
開いたページの始めで笑って、左のページで涙が止まらないってことが何度もありました。
最後は声をあげて泣きましたし。
英一みたいな息子が欲しい。
鉄ちゃんに悪いひとはいないんですね。
《邂逅の森》熊谷達也著
田舎の父に薦められた想い出の作品となりました。
東北の大自然の中での、巨大熊との死闘。
森の息吹、獣の気配、そして人間の営み。
見事に融合し、山を舞台にしたマタギの生きざまに圧倒されました。
ここまでの迫力と緻密さを兼ね備えた作家はそうそう居ないのではないでしょうか?
《山妣》坂東眞砂子著
私のベスト3です。
炭鉱から逃げるシーン、後ろを振り返りながら、自分の呼吸が本当に荒くなりました。
お腹の大きな女が山の中に一人取り残される絶望、おどろおどろしい世界観、かつての東北地方の因習、全てが衝撃でした。
坂東真砂子、すごい!
《破獄》吉村昭著
私が吉村昭さんに初めて出会った衝撃の大傑作です。
戦中戦後に4回の脱獄を繰り返した、無期刑囚佐久間の実話を、緻密に丁寧に描いた素晴らしい作品。
その後もこれを超える文体に出会えません。
佐久間という男の執念を、巨大な布に一ミリづつ針を指していくような、気が遠くなる作業で、見事なまでに描ききってあります。
《太陽の棘》原田マハ著
すごい。原田マハさん、すごいです。
もう、この言葉しか出てこない。
圧巻。
「楽園のカンヴァス」で衝撃を受け、この物語で、もう完全に心を奪われました。
登場人物と登場する絵画がなんて魅力的なんでしょう!
初めから終わりまでワクワクしっぱなしで、展開も秀逸。
印象的な描写も多く、私の傍線だらけです。
こんなにもすごい作家さんと同じ時代に生まれたことに、心の底から感謝します!
私は出会ってしまった。
魂が求めていた作家とー。
《ジェノサイド》高野和明著
世界水準の超ド級エンターテイメント。
早く先が読みたい、でも一言一句噛み締めたい。
もう文句なしの面白さです。
予測不能な危機の連続ですが、人類進化や殺戮の歴史を縦糸に、人間ドラマを横糸に織り込んで、重厚かつ心揺さぶる傑作でした。
映像で見てみたい気もしますが、とてもショッキングな内容なので、やはり映画は無理じゃないかな?
「獣性を保持した人間ほどボスにのしあがろうとする」とか、「敵から心理的物理的に離れているからこそ、生来の残虐性を解き放つ」とか、あまりに衝撃的で、これから世界のトップを見る目が変わりそうです。
《天上の葦》上・下 太田愛著
(上巻)
待ってました❗太田愛さんの最新作。
犯罪者クリミナルと似た大きな社会的犯罪の予感なのだが、なかなか真相にたどり着けない。
島に渡ってからは、誰が敵か味方か解らず、島という閉鎖空間の恐怖がジワジワと背筋を這い上がる。
戦時中から端を発した何かが、老人を渋谷のスクランブル交差点に導いた。
元産科医師が指差した空には何があったのか!?
失踪した公安刑事は何を掴んだというのか?
鑓水を中心とした大好きな三人がそれぞれのやり方で取材と称した調査を繰り広げる。
悪の実態がつかめずモヤモヤとした上巻から、怒濤の展開を期待して下巻へ‼
(下巻)
週末だったこともあり、下巻は正に一気読み❗
これまたすごいものを読んでしまった。
太田愛さん、凄まじい。
参考文献の数!
戦時下の報道や国の犯した過ちを相当勉強されて書き下ろしたのが分かる。
文章から作者の怒りと熱が迸り、あの時代を生きた人々への畏敬の念が伝わってくる。
二度とあの地獄には戻らせないという正光の思い。
何度も込み上げるものがあった。
今回は鑓水が大活躍だったね!
金歯や福耳、富子などのサブキャストもいい(笑)
早くも次回作を期待してしまうよ。
いやいや、じっくり取材して再び大作をよろしく、太田さん(^3^)/
《旅をする木》星野道夫著
素晴らしい本に出会った。
アラスカに長く暮らした星野道夫さんが地球の大自然と人々の営みを、静かで愛溢れる表現で綴ったエッセイ。
感動で胸が震えます。
私の宝物。
いつもバッグにしのばせて、いつでも開いて地球を旅したいと思います。
かつて船で訪れたカナダの川辺の針葉樹が思い出され、更に厳しいアラスカの大地に想いを馳せました。
アンデスシェルパの逸話も印象的。
「私たちはここまで速く歩きすぎてしまい心を置き去りにしてきてしまった。心がこの場所に追いつくまでしばらく待っているのです」
、、、生き急がないようにしたい。
《永遠の0》百田尚樹著
何度泣いたことか!
謎解きのクライマックス、文庫本のページが私の涙でヘロヘロになってます(笑)
後日談、、、映画、私、映画館で10回観ました(笑)
《羊は安らかに草を食み》宇佐美まこと著
穏やかなイメージの題名に油断してはならない。
認知症になったまあさんの過去を辿る最後の旅に出た友人のアイと富士子。
のんびりと話が進むのかと思いきや、突然舞台は終戦直後の満州にタイムスリップする。
9歳の少女が体験するにはあまりにも酷く凄惨な現実。
まあさんが書いた俳句の意味を知った時、体の震えが止まらなかった。
俳句が挿し絵のような効果を持ち、映像として読者の心に重い余韻を残す。
最後の富士子の言葉が救いだ。
「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」
人と出会い、歳を取ることが楽しみになった。
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いずれの本との出会いも衝撃でした。
どの作品も、感情を大きく揺さぶり、生き方・考え方・ものの見方・人としてのあり方などに大なり小なり影響を与える傑作だと思います。
機会があったら読んでみてください。
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