50代からのお気楽山登り

これから山登りを始めようと思う方、ハードな山は無理だけど山歩きを楽しみたいという方に参考にして頂けたらと思います。山行記録と写真、行程図のイラスト、私なりの難易度を載せています。

【⚠️注意喚起⚠️】浅間山・トーミの頭で、滑落事故現場に遭遇しました。2022年2月19日(土)

こんにちは。


いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。


今回は山での滑落事故の情報です。


ショッキングな内容が含まれますので、心が弱っている方、山に登る予定のない方はスルーしてください。


山歩きをしている、もしくは、今後山歩きしようかと考えている皆さんに向け、発信します。


昨日、私は仲間と共に、浅間山外輪山を訪れました。

午後から天候が下り坂の予報だったので、サクッと登れて、雪道歩きと絶景を楽しめる山として、浅間山外輪山を選択したのです。

テンクラはA。

高曇りの予報でしたが、思いの外青空があり、風もなく穏やかな日でした。

その上、空気が澄んでいて展望も抜群でした。


トーミの頭で浅間山と湯ノ平、外輪山の大展望をひとしきり楽しみ、そろそろバナナ休憩でもしようかと思っていた時に、三人の男性グループが登って来られたのです。

後からわかったことですが、千葉県にお住まいの、50代の会社の同僚の皆さんでした。

浅間山は初めてだったようで、トーミの頭に登って来られるなり、「すごい、すごい、すごい大展望だ!」「こんな素晴らしい景色なんだね~」と皆さんとても嬉しそうでした。


登ってこられて、ほんの数分(いや、1分たたないくらいだったかもしれません)、グループのうちの一人の男性の感極まったような声が聞こえたので、振り返ると、一人「トーミの頭」の標識辺りに立って写真を撮っているのが見えました。


場所は私(一番左)が立っていた、正にこの辺りでした。

そして、絶景を写真におさめた後、仲間の方へ戻ろうと、「いやぁ、すごい景色だね~」と言いながら、笑顔で一歩踏み出したその時でした。


アイゼンの爪を雪に隠れていた岩に引っ掻けて、体がぐらついたのです。

3~5メートル離れた所にいた私たちと同行の男性二人、みんなが同時に「危ない!」と言ったその時、


バランスを崩した男性は一歩、二歩、トン、トンと崖側に進んでしまい、そのまま崖下にダイブしたのです。

それは正に「ダイブ」でした。

男性なので歩幅が大きかったこともありますし、足元を見ずに踏み出して、思いがけずつまずいてしまったため、前にポン、ポンと跳ねるように見えました。

そして、、


二歩目をおろした先にこの小さな岩がのぞいていたのです。

この岩に再びアイゼンの爪を引っ掻けた男性は、滑り落ちるのではなく、前に倒れる、飛び込むような形で、崖下に転落してしまいました。

(足跡は転落した男性のものです。現場を残すべきかと思い仲間が撮影していました)

他の場所には低木や岩が端にありましたが、男性がトットッと進んだ先だけ、何もなかったのです。

一瞬何が起きたのか理解できない状況でしたが、最も男性に近い場所に立ち(3メートルくらい)、また崖の側にいた私がすぐに崖下をのぞくと、、


この赤丸の場所に横向きに引っ掛かっているのが見えました。

手前の雪が崩れていますから手前のデッキに落ちて転がり、一旦木の枝で止まったのだと思います。

体のほとんどが見えない状態でしたが、かろうじて留まっています。

「あ、すぐ下にいる!距離は5メートルくらい?どうやって助ける?!」と思いましたが、数秒後「ぁぁぁぁ」と呟いた後、雪と共に見えなくなってしまいました。

「落ちた!」と思い、すぐに110番しなきゃ!とみんなで電話をしようと試み、私が一番早く繋がったので、私が110番通報した形になりました。

その後、同行の男性と電話を交代し、再び下を見ると、雪崩のような跡の中に倒れた男性の姿がありました。

上の写真(男性はぼかしを入れました)を撮影したのは、滑落した場所の連絡の為と、男性が上向きかうつぶせか確認したかったからです。

写真をとって確認しても、はっきりどちらを向いているのかは判別不能でした。

上から「おおーーい!」と同行の男性が何度も呼び掛けましたが、その後動いている様子は見られませんでした。


草すべりルートは前日降った雪で深く、踏み跡はなく、そこから下って男性の元へ向かうのは、二次遭難になる可能性がありました。

県警などの救助を待つしかない状況でした。

男性が転落してから一時間ほどその場にいたと思いますが、雲行きが怪しくなってきたので、私たちは同行の男性二人とたまたま通りかかった役場の職員の方に後をお願いして下山しました。


その後同行の男性から電話をいただき、その日の捜索は断念されたと聞きました。

昨夜は浅間山は雪が降ったのではないかと思いますが、今もまだあそこに倒れておられるものと思われます。



(写真は別の季節に登った時に火山館から撮影したものです)

帰宅して、男性が一旦留まった場所はどこだったのか、考えてみました。

上から覗いた時に崖と雪の間に隙間があったので、この割れ目の外側だったのではと思います。

滑り落ちたのなら、あそこまで崖から遠くに落ちることはなかったかもと思いますが、ダイブしたので、かなり崖より遠くへ落下してしまったのです。


(写真はヤマップの記事からお借りました)

落下後雪と共に流されて倒れていた場所はこの辺りなのではないかと思います。

草すべりからが無理なら火山館の方が見に行けないのか?などと話していたのですが、下からもかなり難しい場所であることがわかりました。


今回、このことを書くべきか、悩みました。

後から、、男性が転落する前に、また岩の出っ張りに引っ掛かかっていた数秒間、私にできることはなかったかと、繰り返し考えています。

「岩が出てますから、アイゼンの爪、気をつけてくださいね」と声がかけられたのではないか。

5メートル下の彼を見た時、

「枝につかまって!」と叫ぶことはできなかったかと、、。

私は「どうしよう!?」と思っただけで、言葉は発しなかったと思います。

もっと経験豊かな人が目撃者だったなら違った結果だったでしょうか?

しかし、側にいたのは、私たちでした。


なぜなのか?

昨日から、みんなで、「なぜ私たちが目撃することになったのか」を話しあい、きっと何か意味があるのではないかと思うに至りました。

自分たちが気を付けることは勿論ですが、お気楽隊と今まで縁のあった方々にお知らせしなければいけないと思い、昨日は皆さんに電話で伝えました。

でも、それだけでいいのか?と考えた時、ブログを書き、「雪山楽しいよ」「私たちでも登れる雪山が沢山あるんだよ」と発信し続けている自分の責任はどう果たすのかと思い、この記事を書いています。


今まで浅間山外輪山は初心者でも雪道歩きが楽しめる山として紹介して来ました。

その認識は今でも変わっていません。

しかし、危険はいたるところにあって、ほんの少しの油断で、大きな事故に繋がることを、合わせて発信しなければいけないと思いました。


転落された方は勿論ですが、同行の男性お二人が気の毒でなりません。

きっと三人で雪山を楽しみにして、いらっしゃったのだと思います。

転落する直前まで、その絶景に感動し、皆さんとてもお幸せそうでした。

まさかこんなことになるとは。

彼らに落ち度は微塵もなかったことを付け加えさせてください。


写真を撮る時や、眺めを楽しむ時は、足場をしっかり確保しておく。

歩き出す時は、足元を確認する。


そして、アイゼンの爪は思わぬ事故の原因になる。


昨日の浅間山は新雪が積もっていて、トーミの頭に来るまで、ずっとモフモフで、危険箇所はありませんでした。

トーミの頭で初めて岩がむき出しになっていたり、薄い雪に隠れていたりしたので、男性はアイゼンの爪の危険性を認識できてなかった可能性もあります。


誰にでも起こり得ます。


注意喚起、よろしくお願いします。



同行の仲間がヤマレコに事故の経緯と今後の課題をアップしているので、合わせて参考にしてください。

⏬⏬⏬


【私はヤマップという媒体で発信しましたが、活動記録としてではなく、モーメントにこのブログのリンクを貼り付ける形でアップしたため、すぐに記事が埋もれてしまいました。もしも読んでくださった方がヤマップを利用される方でしたら、ヤマップ内でフォロワー同士、ブログの内容を共有いただけたらと思います】


いつもブログを応援していただき、ありがとうございます。


《追記》

転落した翌日の正午頃、救助隊により発見されたそうです。

心肺停止の状態でした。

そのニュース記事に、


「風が強かった」という表現がありますが、男性が転落した時点では風はなかったです。

風が原因でも要因でもありません。


また、


「写真を撮ろうとして、、」という表現も事実とは異なっています。

確かにその直前は写真を撮っていたのかもしれませんが転落の原因ではありません。

男性は眺めに感動して、「すごい景色だね~」と言いながら、お仲間の方へ戻ろうと歩き出して、アイゼンの爪が岩に引っ掛かり、よろけてしまった、、これが事実です。

足元を確認しないで踏み出してしまった、、それだけ、、本当に些細なミスだったのです。

そして、あの絶景に見とれたら、誰でもがそうしてしまう可能性があります。

一歩目と三歩目の隠れた岩、その先にあった崖、、不運が重なって起きた事故でした。


男性は決して危険な行為をしていた訳ではありません。

写真を撮るために崖から覗き込んだような印象を与える記事は間違っています。


私が彼の一番近く(2~3メートル)にいて、遮るものなく、その行動を目撃したので、間違いないです。


誤解のないよう、追記しておきます。


それから、万が一この記事を関係者の方が目にすることがあった場合、、


同行のお二人を下山後に見かけましたが、本当に憔悴しきっておられました。

彼らに何の落ち度もありません。

決して自分を責めないで欲しい。

周囲の皆さんのケアが必要だと思います。


亡くなられた男性のご家族の皆さま。

何の慰めにもならないかもしれませんが、、、

最後の瞬間までとても楽しそうで嬉しそうでした。

最後に目にした景色は素晴らしいものだった、、そう思っています。

引っ掛かった場所から体が落ちていく時も、お顔は空の方を向いていました。


心よりご冥福をお祈りします。



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