【秘湯の旅】霧積温泉「金湯館」での夜。2022年1月8日(土)
霧積温泉「金湯館」から、こんにちは。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
《帽子》
--------母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?
えぇ、夏碓氷から霧積へ行くみちで、
渓谷へ落としたあの麦藁帽子ですよ。
--------母さん、あれは好きな帽子でしたよ。
僕はあのとき、ずいぶんくやしかった。
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
--------母さん、あのとき、向うから若い薬売が来ましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした--------。
そして拾おうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。
だけどとうとう駄目だった。
なにしろ深い渓谷で、それに草が背丈ぐらい伸びていたんですもの。
--------母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍に咲いていた車百合の花は、
もうとうに枯れちゃったでせうね。
そして、秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが鳴いたかも知れませんよ。
--------母さん、そして、きっと今頃は、--------今夜あたりは、あの溪間に、静かに雪が降りつもっているでせう。
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた、
「Y・S」という頭文字を埋めるように、
静かに、寂しく---------
西条八十 作
森村誠一が大学時代、ハイキングの後で宿泊した霧積温泉の、お弁当の包み紙に印刷されていたこの詩をヒントにして、「人間の証明」という作品を産み出したと言われています。
こちらが今使われているお弁当の包み紙です。
しわくちゃになっちゃいましたが😅
この詩は本当にいいですよね。
失った麦藁帽子を通して母を思い、母と過ごした思い出を懐かしむ詩で、切なさが胸を締め付けます。
そして目に浮かぶ霧積の四季。
深い深い溪底へ舞っていく麦わら帽子の映像が鮮明に現れます。
特に「夏碓氷から霧積へ行くみちで」というフレーズがたまらないです。
「夏」「碓氷」「霧積」
なんとも美しい言葉たち。
私がこの本を読んだのは、たしか中学か高校の時だったと記憶しています。
まだ中国地方にいる頃、遠く関東の碓氷、霧積という響きに憧れ、「どんな所なのだろう!いつか行ってみたいなぁ」と思っていたのでした。
関東に住むようになり、初めて金湯館に泊まったのは、今から8年ほど前の年末でした。
当時は四駆の車を持っていなかったので、鉄道を利用し、横川駅まで宿のご主人に迎えに来てもらった記憶があります。
山歩きもまだ始めていない頃なので、翌日はバスで軽井沢へ向かい、渓谷へ帽子が舞っていく様子を想像しながら、碓氷峠を越えたのでした。
今はハガレーナも四駆ですし、山歩きもできますし、仲間も増えて、活動範囲と楽しみが何倍にも増えています。
土曜日には浅間隠山に登り、大きな山塊を車でぐるーーーっと回り込んで霧積温泉へ移動し、日曜日には碓氷峠を越えて軽井沢へ抜け、小浅間山で遊ぶ計画をたてました。
🚙🚙🚙🚙🚙🚙🚙🚙🚙🚙
浅間隠山で360度の大パノラマ!
浅間山や多くの名峰たちの眺めを楽しみ、車で移動して国道18号の玉屋ドライブインまでやってきました。
⏫(お弁当の包み紙に載っていた略図)
電話で宿泊予約した際に、「玉屋ドライブインを過ぎたら電話してください。それ以降はしばらく携帯が繋がらなくなります」と言われていたので、一旦玉屋ドライブインの駐車場に車を停めて、そこから電話連絡しました。
玉屋ドライブインがある場所が「霧積入口」になります。
ここから終点の駐車場まで3.8㎞。
きりづみ湖までは広い道でしたが、湖を過ぎるとすれ違いが厳しい狭いクネクネ道になります。
少しずつ雪が増えてきました。
辺りの山の斜面には、名もなき氷瀑があちこちありました。
山肌からしみ出す水が全て凍ってしまうようです。
上から下まで凍りついた大きな滝がありました。
これは略図に載っていた「めだき」でしょうか?
この滝には「おだき」と名前が表示されていました。
なぜこの滝だけ凍らないのだろう??
水量が多いからでしょうか?
不思議です。
車で入ってこれる終点は広い駐車場になっています。
ここはかつて「霧積館」という温泉宿があった場所。
今は看板のみ残して更地になっていました。
ここに車を停めると、迎えに来てくれていた宿のご主人のバンに乗り換えました。
バンに乗り込むと、駐車場の奥からロープなどを抱えたグループが下山してきたので、思わず車の中からパシャリ📷️
どうやらこの奥にアイスクライミングができる場所があるらしいのです。
すぐ近くらしいので、明日の帰りに見学に行ってみようと思います。
道を少し戻ると、左手に金湯館への道があります。
一般車は入れません。
宿のご主人がゲートを開けているところ📷️。
ここからは急勾配のガードレールもないような狭い道をクネクネと進みます。
慣れてなければ、これは無理ですね。
送迎車に揺られること12~3分で金湯館に着きました。
車から降りて、階段を下って谷底へ。
霧積川の側に赤い屋根の「金湯館」はたっています。
水車に水を運ぶ木製の水路が凍りついてる!
冬の金湯館の風物詩ですね。
8年前に訪れた時よりは雪が少ないですが、それでもやっぱりいい雰囲気!
覆い被さるような急峻な山に囲まれた溪の底に、ひっそりと佇む秘湯です。
朱色に塗られた橋を渡って、金湯館へ入りました。
数年前の台風19号で途中の林道が被害を受け、碓氷峠から徒歩で来る客だけを受け入れるしかなかった時期もあったそうです。
そしてその後のコロナ襲来。
日本中の宿がそうだったように、一時は廃業も考えるほど窮地に立たされたとのこと。
根強いファンの「どうしても残して欲しい」という多くの声をうけ、必死に踏ん張ってくれているそうです。
かつては三軒ほどあった霧積の宿。
残る唯一の「金湯館」の貴重さゆえ、絶対失ってはいけないものとして、ここにあります。
玄関ロビーです(翌朝撮影)
フロント(?)の奥にご主人ご一家の居間があり、のれんの向こうにこたつに座ってテレビを見る大女将の姿が見えました。
あ、おばあちゃん、ご健在だ!
8年前に訪れた時に、夜中に2度目の温泉にいくと、おばあちゃんが入っていて、「人間の証明」の撮影の時の様子など、お話をうかがったのでした。
昨年ロビーで転んで腰骨を折り、しばらく入院していらしたそうですが、元気に戻って来られました!
良かったですね~。
おばあちゃんの艶々した色白のお顔を拝見すると、なんだか得した気分になるんです😁
ロビーから温泉に向かう渡り廊下です。
この秘湯感、たまりません!
私たちの部屋は温泉のすぐ側にある、この一軒家みたいな建物の一階でした。
なんと、三部屋ぶちぬき(笑)
こんなに広々と使えちゃうの!?
窓からは、凍りついた水車が目の前です。
山も広々と見渡せて、いい感じ。
今回の宿泊では、群馬県から様々なサービスがありました。
こちらは群馬県からの差し入れ「メイドイン群馬のマスク5枚入」。
そして、群馬県の隣県割で、埼玉県人ならなんと5000円引きで泊まれます!!
それに加え、安中市で使えるクーポン2000円分!
明日、横川のかまめしでお土産を買おうと思います。
温泉は渡り廊下(屋外)の先にあります。
24時間入浴可能。
秘湯にやってきたのに、温泉の写真はないという😅
スマホを持って行かなかった。
まぁ、ひなびた温泉を想像してください。
きっと想像を超えます(笑)
「おら東京さいくだ」のメロディで、はいっ!
🎵シャワーもねぇ、露天もねぇ、サウナなんてとんでもねぇ🎵
垢擦りねぇ、肩もみねぇ、お湯は蛇口からちょーろちょろ🎵
お湯もぬるいときたもんだ~🎵
そう、お湯はぬるいんです!
これが金湯宿の唯一の弱点かな💦
湯船につかっていて寒くはないので、多分38度くらいはあると思うんですけどね。
温湯なので、湯船で寝れます。
いつまでもつかっていられる😁
でも湯船から出ると、「寒っ!」となるんですよね😅
でもね、でもね、
「おらこんな宿いやだ~😆」とはならないんですよ。
なんかいいんです。
なんか好きなんです、金湯館。
こたつに座るのに、座椅子の方がいいかと思って座ってみると、ばあさん感がマシマシになりました🤣🤣🤣
ターボが「はい、はい、おばあちゃん、お茶どうぞ」と持ってきてくれた(笑)
そして、夕食です!
ドーーーンと山菜の天ぷら!
ヤマメの塩焼き、キノコたっぷり汁、こんにゃくのお刺身、高野豆腐の煮物、、
せいたくなお料理はありませんが、部屋でこたつに入って身内だけでいただく、、これを贅沢と呼ばずして何を贅沢と言うのか!
そして、全てがとても美味しいのです。
割り箸の袋にも例の詩が。
この詩を読む度に胸がキュンとなるんですよ😁
宴が始まりま~す!
上げ膳据え膳の喜び!
最初は快調だったんですよ、、😁
徐々にみんなの箸が止まり始める、、😅
うへぇ~、もう食べなれない!!
量が多かった!食べすぎた~😆
外の気温はマイナス3度。
しんしんと冷え込む谷の宿にて、、
部屋の中では熱い熱い戦いが繰り広げられておりました(笑)
最近のお気楽隊で流行りまくっている「神経衰弱」です。
最近物忘れが激しいので、老化防止のための悪あがきです。
勝ったり負けたり、三人のどんぐりの背比べ🤣🤣🤣
次は「大貧民」。
これはハガレーナが一枚も出せないままゲームオーバーとなった時の写真です。
大貧民は我が家のルールでやったので、やはり私が有利でしたね😆
全く眠くなりませんでしたが、日が変わるタイミングで強制終了し、温かい布団に入りました。
翌朝です。
歯磨きしながらスクワット😅
外の気温はマイナス1度。
昨夜より温かいです。
そして、晴れてる!!
周囲の山がモルゲンロートに🥰
部屋の窓を開け放して、しばらく眺めを楽しみました。
キンッと冷えた空気が気持ちいいです。
わずかな時間ならってことですけどね(笑)
何しろ水車がガッチガチに凍りついてるくらいですからね。
めっちゃ寒いです。
ハガレーナは外を散策していましたが、全くそんな気にならなかった(笑)
あたたかい朝ごはんをいただきましょう🎵
おかずが多過ぎて、ご飯を食べ過ぎちゃうよ~😆
金湯館のご飯は美味しいです!
その後9時15分発の送迎車を利用するため、ロビーにやってきました。
会計を済ますと、、
女将さんにお年賀でこんなボールペンをいただきました!
このボールペン、頭のところがタッチペンになっていて、めっちゃ役立ちました!
手袋をしたままスマホ(カメラ)を操作できるんですよね。
「お年賀」、ありがとうございます!!
ロビーの資料をしばし見学!
西条八十の略歴です。
こちらは森村誠一の略歴。
映画「人間の証明」にホテルマンとして出演していましたよね。
森村誠一が金湯館に泊まったのは、大学三年生の時だったんですね。
彼がたどった道はどれだろう??
霧積温泉をスタートし、十六曲峠、鼻曲峠、鼻曲山、、そこから満天山を経て国境平に下ったのか、、それとも乙女コースで長日向に下りバスに乗ったのでしょうか?
季節は3月か?
冷えきった体が感動であたたまったという「帽子」との出会い。
いつか同じルートを歩いてみたいですね😁
秋にウォーリーを誘って、また泊まりに来ようとみんなで約束しました。
金湯館を訪ねた財政界、作家、詩歌人、文化人。
勝海舟!!
与謝野晶子!
教科書に載っていた名前が~😲
歴史のあるお宿なんですね~。
そんなお宿の入口で、お気楽隊の歴史を刻んでおきました🤣🤣🤣
秘湯千手観音なり~😆
では宿に別れを告げます。
また来ます!!
そして、みんなに宣伝しますね!
(お弁当の包み紙より)
霧積の四季は、平地より約1ヶ月遅い春、早い秋、気温は7~10度低温です。
《雪》
1~3月頃まで10~30cm積雪(山の日陰吹き溜まりは0.2~1m位)本格的なスキーには不適、冬山に装備して愉しい頃です。
《芽吹》
4月末、霧積川沿いにヤシオツツジ、ヤマザクラ、エゾスミレ、フデリンドウに小鳥も歌声高く、5月初めからブッポーソウが鳴き出します。
《若葉・青菜》
5月中~下旬、ヤマツツジ、スズラン、カモメラン、アツモリソウなど、高原の花々、ゼンマイ、ウド、ワラビの盛んなとき。カッコー、トラツグミ、ジヒシンチョウ、エゾハルゼミは数万匹の高声、野イチゴ熟れ、ナツツバキの花散り、レンゲツツジ(6月中旬)咲けば夏は始まります。
《紅葉》
山頂にナナカマドは10月初めから、温泉付近は10月20日頃から見頃、霧積川沿いは11月初めも残紅美しく、11.12月は落葉、初霜をふんで浅間嶺の新雪輝く尾根路歩きに好適です。
そしてそして、、、
1月中なら、埼玉県人は5000円引き!
3月13日までって言ったかな?
それまで2000円クーポンもらえます!
是非是非、みなさん、お越しになってください!
帰りの車中から見えた鼻曲山です。
今日も真っ青な空が広がり、楽しいハイキングができそうです🥰
昨日も眺めた「めだき」でアイスクライミングしている人たちを発見!!
おぉ、やっぱりそうなんだ!
昨日凍りついた滝を見ながら、アイスクライミングできそうだね~と話したんですよ。
駐車場のちょっと奥がアイスクライミングの練習中だと聞きました!
ちょっと行ってみましょう。
初級。
中級。
氷の中に水が流れているのが見えました!!
上級!
すご~い、カッコいいね~⤴️
でも、危なそう~😆
特に右の細い氷はハンマーを打ち込む度にカラカラと氷が割れて落下していて苦労しています。
谷に割れた氷柱がカランコロンと転がる音が響き渡っていました。
そんな冬の音に見送られて、次に目指すは小浅間山です!
金湯館のおにぎりを山頂で食べたいと思います。
いつもブログを応援していただき、ありがとうございます。


























































