50代からのお気楽山登り

これから山登りを始めようと思う方、ハードな山は無理だけど山歩きを楽しみたいという方に参考にして頂けたらと思います。山行記録と写真、行程図のイラスト、私なりの難易度を載せています。

【長野、北八ヶ岳】『天狗岳』《後編》東天狗から天狗の奥庭へ。絶望的な歩みの遅さと、果てしない下りの巻 2018年11月10日(土)

《登山難易度 8》

天狗の奥庭からこんにちは。


《前編》の続きです。

デンジャラストレッキングとなった天狗岳からの下りが始まります。

東天狗山頂を午後1時12分に出発しました。

東側が切れ落ちた岩場に向けて歩き始めます。

先に行った二人が岩場の下で私を待っています。

あそこからどちらに進むのでしょう?

まさかあの岩場を越える?

いえいえ、さすがにそれはなく、左手に岩場を巻いて下って行くようです。

ここからどんな下りになるのでしょうか。

霧の中を進みます。

少し行くと、徐々に雲が消えていきました。

眺望が少しずつ広がっていきます。

西側の眺望がどんどん広がります。

西天狗から下部に広がる美しい森です。シラビソとダケカンバが素敵です。

アップにしてみました。

馬の背のような岩場を越えると、

雲が消えて、一気に眺望がひらけてきました。

左からターンして、

いやぁ、これまた素晴らしい展望です。

先に行くターボの「こっちはもっと凄いよ~!」という声と、ハガレーナの「うわ~🎵」という声が聞こえてきて、ワクワクしながら歩きました。

巨大な岩の壁を巻くように下っていくと、

午後1時40分、中山峠に向かうルートと天狗の奥庭を通るルートの分岐に到着です。

山頂出発から28分経過しました。

ここからの眺めが今日一番に素晴らしかったです。

右からターンして、

尾根道の向こうに見える断崖絶壁は、稲子岳。

右下の森にはシラビソ小屋も見えました。

稲子岳の向こうに見える尖った頂きはにゅう。

左手にのなだらかな稜線は中山です。

雲に隠れているのは丸山でしょうか。

浅間山も見えます。

地図で確認すると、こちらは金峰山と瑞牆山なのではと思いました。

何となく金峰山の有名な岩が見えるような気がします。

地図であちこち確認するターボと私です。

振り返ると、西天狗の向こう側が晴れています。

今なら八ヶ岳の絶景を見渡せていることでしょう。

う~ん、惜しかったです。

紹介が遅れました。

今回のメンバーは、ハガレーナ、ターボ、私の晴れ女隊3人です。

では、先を急がねばなりません。

ここでこのまま尾根を下り、中山峠経由で黒百合ヒュッテを目指すか、天狗の奥庭を通るか迷いました。

時間的には地図上では10分しか違わないので、尾根から森に入る中山峠経由より、展望がひらけていそうな天狗の奥庭を下ってみようということになりました。

この選択を後で悔やむことになります。

午後1時50分、天狗の奥庭に向け下り始めます。

先週黒百合ヒュッテから登って天狗岳を眺めたあの展望台が見えています。

この時も結構な距離があるなとは思いましたが、、

行けども行けども、ちっとも近づいている気がしません。

足元は相変わらずの岩とガレガレです。

振り返ると真っ青な空。

ハイマツに囲まれたガレ場を下っているのがよくわかりますよね。

岩がまた大きくなってきました(涙)

岩場を登って行きます。

午後2時20分、天狗の奥庭(上)に到着です。

尾根の分岐から30分。

東天狗山頂からは、分岐で10分程眺めを楽しんでしまいましたが、それを含めて1時間以上かかっています。

地図のコースタイムだと山頂から黒百合ヒュッテまでで1時間なのに!

まだ半分しか来ていないのにもう1時間以上かかっているなんて、、。

むむむむ、考えるのはよしましょう。

まずは先に進むしかない。

天狗の奥庭(上)を過ぎ、辺りを見回したところです。

ここで軽く絶望しました。

いや、正直に言うと、かなり深刻に絶望しました。

なに?!これ!?

まだこんなに下らなければいけないの!?

しかも、足元は山頂直下並みの岩、また岩。

こんなのブログのどこかに書いてあったっけ~?(涙)

誰かのブログに「岩岩した道」という表現はあった気がするけど、ここまでなんて知らなかったよ~(涙)

それが、延々、こ~んなに続いているのですよ~(涙)

二人はストックをしまい、手を使って下っていきました。

私はバランスを取るのと、右膝を痛めないようにしたいので、ストックを三本目の足として使って下っていきました。

一応眺めを納めておきましょう。

左からターンして、、

美しいことは美しいです。

そして、広い!

眺めてるだけならいいけど、この岩場を延々歩かなければ黒百合ヒュッテに着けない!

遠いぞ~~~(涙)

おおおお、なんだか先週見た景色になってきたぞ~。

これはスリバチ池(水はないけど)ですぞ。

最後の岩場を登って、

午後2時59分、やっとのことで天狗の奥庭(下)に到着しました。

分岐から1時間9分、山頂から1時間47分も費やしてしまいました。

やばいよ、やばいよ、とっとと下るよ。

黒百合ヒュッテが見えた来た~。

この後午後3時9分、黒百合ヒュッテに着きました。

既にテントを張って休んでいる人がいます。

黒百合ヒュッテには灯りがともり、しーんとしています。

今頃下山しようとしている自分たちを見つけて叱られやしないかとドキドキしながら、トイレをお借りし(200円)、そーっと通りすぎました。

下山開始が3時17分。

当初の予定だと黒百合ヒュッテを出発するのが12時50分でしたから、、

〈なんとこの時点で2時間27分遅れという事実〉

少し身体が震えました。

下山完了までに日の入りを迎えるのは確実です。

覚悟して歩かねばなりません。

下り始めは鉄製のキャットウォークです。

しかしすぐに見慣れた風景に。

この山はどんだけ「岩」なんだ。

しかもこちらのコースの岩は湿っていて、とにかく滑る!

ハガレーナが遅れ始めています。

木道もありますが、これまた滑る滑る。

ツルッツルです。

私は慎重に足を置けば大丈夫だったのですか、ハガレーナの靴底がとにかく滑り易いらしく、一歩歩く毎に「滑った!」「ありゃりゃりゃ、また滑った!」「ひぇ~、怖いよ~」「アタタタタタ、足が意図してない方に持っていかれる~(涙)」という声がずーっと聞こえていました。

こりゃハガレーナじゃなく靴底スベリーナだなと思いましたが、この時はそんな冗談を言う余裕はなく、今初めてそう思った事を明かします(笑)

ハガレーナは新しい登山靴に買い換えるらしいです。

それにしてもあんなに滑っていたのに、足を痛めなかったハガレーナの身体能力の高さには逆に驚かされます。

ターボも何回か尻餅をついていました。

木道の端っこが滑りやすかったです。

私も途中斜めになった木の根っこで滑り、右膝がミシッとなりましたが、サポーターのお陰で難を逃れました。

速く行かなければ、日が暮れるという気持ちの焦りはあるのですが、怪我をしては大変なので、慎重に下るしかありませんでした。

タイマーを20分でセットしていたので、次の分岐までタイマーが2回鳴れば着くね等と話していましたが、タイマーを三回セットしても分岐に着かず、「渋の湯温泉分岐まで遠いね~。まさか通りすぎてないよね?」と二人が心配していました。

間違えてはいないと思いましたが、何しろ歩いても歩いても着かないので、内心途方に暮れているような状態でした。

しかし歩いていればいつかは着くもんで(当たり前ですが)、ようやく前に分岐が見えてきました。

時刻は午後4時23分。

地図上のコースタイムは45分なのに、なんと黒百合ヒュッテから1時間5分かかってしまいました。

分岐についた安堵感と、何とか怪我せず来れたことへのやれやれ感と、とてつもなく歩みが遅い現実への焦燥感と、そして、日が暮れることへの不安感と、、、。

様々な感情が湧き起こった分岐通過となりました。

分岐からも長かったです。

ついに日が暮れ始め、美しい夕陽が見えてきました。

「これ、この夕陽、袈裟丸山で見たのと同じだ」と思いました。

あのときは登山口まで標高差150M下ればよかったのですが、今日はその倍の320M下らなければいけません。

ヘッデンはこの後使わなければいけなくなるのは分かっていましたが、ライトをつけると回りが見えなくなるので、できるだけ遅めにしたいと考えていました。

ハガレーナが目が悪く、段々道の段差が見えにくくなってきたと言っていますが、ライトをつけるタイミングは「みほさんに任せるよ~」と言っています。

最後の方は更に急な坂となり少しジグを切るようになりました。

足元がいよいよ見えにくくなってきたので、午後5時頃ヘッデンをつけることにしました。

ヘッデンをつけると、足元はすごく良く見えるようになりましたが、それと引き換えに辺りは真っ暗になります。

一度縦に敷かれていた木材の上に足を置いたときに足を滑らせ私が尻餅をつき、危うく左側の斜面に転がりそうになりました。

ちょうど手をついた場所が持ちやすい岩だったのでそれを掴み、転がることは避けられました。

私は意外と冷静だったのですが、後ろにいたターボの慌てようがすごくて、私を助けようとワーワー騒いでいるので、私は逆にターボが転がりそうになっているのかと勘違いした程でした。

その後はなるべく山側を歩くように心がけました。

坂道は延々続くよ、どこまでも。

時々ヘッデンの光を上に向けて、ピンクテープを探しながら、道間違いをしないよう慎重に歩きました。

ヘッデンの明かりが前方を照らすと、何でもない切り株が白く浮かび上がり、何かが登山道の真ん中に潜んでいるように見えるので、先頭を歩く私は別の恐怖感もありました。

夜行性の動物に出会うのは怖いので、わざと大きな声でしりとりをしました。

ターボは一番疲れていたようで、もうフラフラです。

私は大きな声で「ロ、ロ、ロ、ロ、ロマネスク王朝!」とか「またリィ?う~んと、リーマンショック!」等と叫んでいるのに、ターボはいかにもやる気のないように小声で「イチゴ」とか「こま」とか短い単語を答えるのみでした。

ハガレーナが聞こえないので、何度も聞き返していました。

その度に私が大声で「イチゴだって~!」と伝えました。

とにかく賑やかにしていないと、心がやられそうでしたから。

少しづつ沢の音が聞こえて来て、最後唐沢にかかる橋を渡った時には本当に嬉しかったです。

午後5時43分、唐沢に到着です。

ここからは車道歩きでした。

いつもは退屈な車道歩きがこの時ばかりはルンルン?でした。

唐沢鉱泉の浴場横(登山者が今頃温かい温泉で足を伸ばしているんだなぁと想像しながら)を通り、5時55分、駐車場に帰り着きました。

分岐から1時間12分かかったことになります。

標準コースタイムは40分でした。

今となっては、コースタイムの何倍かかろうが、もはや驚きません。

〈結果、私が初めに立てた計画から、なんと3時間40分もオーバーしたのでした〉

地図に載っているコースタイムって何なんですかね。

簡単な山は初心者が登るスピードで、難易度の高い山は上級者が歩くスピードで計算しているとしか思えません。

このところコースタイム通りに歩けて浮かれていたので、「山を甘く見るんじゃねぇ!自分らの実力を思いしれ!アハハハハハハ~!」(誰だ?)と、いきなり梯子を外されたような気分です。

朝、私たちの後に歩き始めた女性たちの車はまだ停められていたので、どこかの山小屋かテントに泊まっているんだなと思いました。

こんなコースを日帰りで歩き通そうとするなんざぁ、オオバカモンのすることよ(なぜか江戸っ子)

私たちはやはり初心者です。

登山の回数をいかに重ねても、その進歩たるや亀の歩みで、体力がない、バランス感覚(体幹)はない、山の知識も乏しく、その上道選びのセンスもないのだと思い知りました。

少しづつチャレンジ登山は続けて行きたいと思いますが、今まで以上に慎重に計画を立てたいと思います。

車に乗ってからは、歩いている時は元気のなかったターボは運転があるので再生し、私は緊張がほぐれて疲れはて、魂が抜けたようになってしまいました。

ターボは帰りの運転も長かったのに、私はうつらうつらしてしまって申し訳なかったです。

今回は時間が長かったので、さすがにターボのデバイスも下り途中(分岐を過ぎた辺り)でこと切れました。


唐沢鉱泉0752~(1時間12分)~分岐0904~(1時間6分)~第一展望台1010~(46分)~第二展望台1056~(23分)~岩場下(森林限界)1119~(34分)~西天狗1153(51分)~(15分)~鞍部1259~(11分)~東天狗1310~(30分)~分岐1340(10分)~(30分)~天狗の奥庭(上)1420~(39分)~天狗の奥庭(下)1459~(10分)~黒百合ヒュッテ1509(8分)~(1時間6分)~分岐1623~(1時間20分)~唐沢1743~(12分)~唐沢鉱泉駐車場1755


全行程 10時間3分

(うち歩行時間 8時間55分)

※参考(標準CTは 5時間35分)

歩数 23000歩

歩行距離 13キロ位

標高差 766M (1880M~2646M)

累積標高差 884M

パーティー 3名(コマクサ探検隊)


最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

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