【読書】テスカトリポカ(佐藤究)
こんにちは。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
入院中に読むには精神的にハードルの高い作品でした。
今年度の直木賞・山本周五郎賞をダブルで受賞したと聞き、ターボが「かなり面白いらしいよ」と言うので、手に取りました。
毎年本屋大賞は必ず読み、直木賞受賞作も面白そうなら読んでいます。
芥川賞は、私の読解力と感受性では理解できないことが多いです😅
【テスカトリポカ】佐藤究著(角川書店)
《表帯》
第165回直木賞受賞作
第31回山本周五郎賞 W受賞
著者究極到達点!
《裏帯》
われらは彼の奴隷
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会う。
二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へ向かった。
川崎に生まれ育った天涯孤独の少年、土方コシモは、バルミロに見いだされ、知らぬ間に彼らの犯罪に巻き込まれていく。
ーー
海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国(アステカ)の恐るべき神の影がちらつく。
人間は暴力から逃れられるのか。
誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖
直木賞・山本周五郎賞ダブル受賞と聞いていたので、油断していました。
こっ、これは、これは一体何!?
ただただ圧倒されました。
笑える箇所が一ヶ所もない。
ホッとする場面も一瞬で終わる。
最初から最後まで、私は眉間にシワを寄せていたと思います。
うねるようなどす黒い殺意とヌラヌラとした血みどろの沼に足をとられ、血生臭さと恐怖に絶えず晒され、男たちの底知れぬエネルギーに終始船酔い状態でした。
おぞましい犯罪組織がアステカの神の掟という大義名分をかかげ、ひたすら殺戮を繰り返すお話です。
惨たらしい処刑シーンが度々描かれ、そのリアルさには吐き気をもよおしました。
そこに現代の麻薬取引、人身売買などの犯罪が緻密に絡まり、金と利権をめぐって、男たちの欲望が渦巻いています。
こ、こんな世界があるのか!?
いっ、息ができない💦💦💦
全編の底に絶えず流れるアステカの歴史(神話)。
それが呪文のように、主人公の二人(バルミロとコシモ)に囁きかけ、読者の脳に染み込んでいきます。
私の神経が麻痺し、徐々にバルミロが正義だと勘違いしそうになる😱
テスカトリポカが欲しているのは生け贄なのだと信じた理由が最後に明かされるのですが、私にはとても理解しがたいです。
ファミリアという名の虚像。
バルミロの魅力に取りつかれ、彼を好きになり始めていた私を、コシモが目覚めさせてくれました。
登場人物でまともなのはパブロだけだったな😅
最後はわずかな救いがありました。
コシモがその後どう生きたのか気になるところですが、、、。
最後に作者の参考文献の多さに舌を巻きました。
アステカ王国、インディアス、インドネシア、コカイン、メキシコ、資本主義、銃器、心臓移植、聖書、マフィア、ナイフ、バスケットボール、無戸籍、麻薬戦争、人体部品産業、ボルダリング、、、この小説に登場した様々な事柄の参考文献です。
この小説は凄まじいです。
内容も質量も、そして、熱量も!
読むには覚悟が必要です。
心が弱い(繊細な)方は卒倒しますから、ご注意ください💦💦💦
いつもブログを応援していただき、ありがとうございます。