【読書】本を守ろうとする猫の話(夏川草介)
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読書感想5冊目は、前回に引き続き夏川草介の作品です。
『始まりの木』に出てくる伊那谷の大柊をネット検索していてヒットした上橋菜穂子さんとの対談に少し出てきました。
どうやら辛辣な言葉を投げ掛ける猫が登場するらしいのです。
ちょっと面白そうですよね😁
興味を持ったのでアマゾンでポチッとな!(笑)
【本を守ろうとする猫の話】夏川草介著(小学館)
《表帯》
お前は、ただの物知りになりたいのか?
『神様のカルテ』著者が贈る、21世紀版『銀河鉄道の夜』!
《裏帯》
お金の話はやめて、今日読んだ本の話をしよう。
ーーーー高校生の夏木林太郎は、祖父を突然亡くした。祖父が営んでいた古書店『夏木書店』をたたみ、叔母に引き取られることになった林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコが現れる。
「君自身が旅を続けなさい。メロスが最後まで走り続けたように。」
📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖
祖父を失い、茫然自失する主人公の前に、突然人間の言葉を話すトラネコが現れます。
そして、「お前の力を借りたい」と言うのです。
根暗で引きこもりで、本を読むことしか取り柄のない少年に何ができると言うのでしょう。
淡々と毒を吐き、有無を言わせぬ気迫を備えた猫にいわば強制的に不思議の世界に連れ出される主人公。
本を巡る冒険の旅が始まります。
本好きにはたまらないきら星のような言葉がちりばめられた宝箱みたいな一冊でした。
印象的な表現が次から次へと出てくるので、、
またまた付箋紙だらけとなりました😅
日常生活ではとても気弱で、学校にも行けない主人公が、様々な境遇に置かれた大好きな本たちを助けるヒーローになるファンタジーです。
辛辣で痛いところをついてくるトラネコと、読書家だけあって言葉の選択がウイットに富んでいる主人公、そして聡明で美しい学級委員長との会話が楽しく、読んでいてとても心地よかったです。
作家の言葉選びのセンスに惚れてしまいました。
数多くの印象的なフレーズの中からいくつかご紹介します。
『世の中には理屈の通らぬことや、理不尽なことが山のようにある。そんな苦痛に満ちた世界を生きていく上での最良の武器は、理屈でも腕力でもない。ユーモアだ』
『本をよむことは、山に登ることと似ている。ーーー(中略)ーーーどうせ登るなら高い山に登りなさい。絶景が見える』
『むやみと急げば急いだ分だけ多くの事柄を見落とすのが人間である。汽車に乗ればさぞかし遠くへ行けるであろうが、その分だけ見識が増すと思うのは誤解である。路傍の花も梢の小鳥も、自らの足で歩く愚直な散策者のもとを訪うてくるものである』
『やってみるよ。僕なりに』
爽やかな読後感でした。
これは何度も読み返す本になりそうです。
最後に、、
カバーを外すと、千代紙のような可愛い猫柄でした。
嬉しいサプライズ。
本を愛してやまない人々の作品なんだなあと感じました。
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