50代からのお気楽山登り

これから山登りを始めようと思う方、ハードな山は無理だけど山歩きを楽しみたいという方に参考にして頂けたらと思います。山行記録と写真、行程図のイラスト、私なりの難易度を載せています。

【読書】羊は安らかに草を食み(宇佐美まこと)

こんにちは!

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。

読書習慣を取り戻すべく、感想のブログ発信を始めたやまみほです。

二冊目(ブログ発信が二冊目というだけでなく、情けないですが、正真正銘の今年二冊目です😅)も、とても良い作品だったので、感想を書きます!


【羊は安らかに草を食み】宇佐美まこと著(祥伝社)


表帯『認知症を患い、日ごと記憶が失われていく老女には、それでも消せない〈秘密の絆〉があった』ーーー『八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!』

《日本推理作家協会賞受賞作『愚者の退く』を超える、魂の戦慄》


裏帯『過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたいーーーアイと富士子は、二十年来の友人・益恵を「最後の旅」に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の過酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは?旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露和にした時、老女たちの運命は急転するーー』


この本のことは、先週再開した『読書メーター』というサイトで知りました。

「お気に入りの読書家」皆さんの感想を読んで、いずれも高評価でしたし、レビューの内容も興味深かったので、本屋で見かけて即買いしました。

別の本を読み始めていたけど、こちらにスイッチ!😁

以下、読書の感想です。


📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖


一言で言うと、これは面白かった!などという表現では到底言い足りません。

しいて言えば、そう、素晴らしかった!

傑作と呼んでいいと思います。

初めての作家さんでしたが、衝撃を受けました。

皆さん、この喉かな雰囲気の題名に騙されてはいけません。

認知症を含む老女の旅だって?

きっとのんびりと時にしんみりとした旅になるんだろうな、なんてイメージは捨ててください。

もう第一章の41ページから怒涛の展開になります。

完全に油断していた私は、いきなり脳天をぶち割られたような衝撃で、これまたページをめくる手が止められなくなり、

昨夜と今朝とさっき、合計8時間で読み終わりました。

だって、突然、容赦なく、舞台は日本敗戦直後の満州に切り替わるんですもの。

それまで安穏に暮らしていた10歳の益恵が、突然ソ連兵に追われる身となり、過酷で壮絶な体験をすることとなります。

次から次へと起こる殺戮と悲惨な情景。

それがこれでもかこれでもかと読者を襲ってくるのです。

現代の老女の旅と、満州脱出の旅が交互に語られるのですが、現代の話でもほっと一息という訳にはいきません。

そこで語られる関係者の証言にまたおぞけが立ちます。

戦時下で人とはここまで鬼畜になれるものかと、、。

この小説の大きな個性は、益恵がかつて詠んだ俳句が重要な役割を果たしている点です。

満州の事が語られる場面では、益恵の俳句が挿し絵のように太字で表されます。

そして、その章の最後でその意味を知るとき、私たち読者の心には鮮やか映像と共に、深く重い余韻が残るのです。

満州での益恵たちには、いつも死が隣にあり、そして、今旅している老女たちにもそれはすぐそこにあるものです。

死を覚悟した、死を受け入れることを知った人々の、ある種突き抜けた自由とも呼べる潔さも印象に残りました。

これはネタバレってことにはならないと思うので書きますが、最後の富士子の台詞が胸に染みます。


「別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう」


人と出会い、友と語らい、老いていく未来が楽しみになりました。


いつもブログを応援いただき、ありがとうございます。

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