【読書感想】『カーテン(アガサ・クリスティー)』『そして誰もいなくなった(アガサ・クリスティー)』『52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)』2025年12月30日(火)
こんにちは。
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12月第5週に読んだ本の感想を書きます。
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《カーテン》アガサ・クリスティー著(早川書房)
◎あらすじ、、、
ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。
老いて病床にある名探偵は、過去に起きた何のつながりもなさそうな五件の殺人事件を示す。
その陰に真犯人Xが存在する。
しかもそのXはここ、スタイルズ荘にいるというのだ………
全盛期に執筆され長らく封印されてきた衝撃の問題作。
◎感想、、、
数十年前に一度読んでいますので、再読になりますが、何ひとつ覚えていなかったので、しっかり楽しめました。
「アガサ・クリスティー完全攻略」によると、アガサ・クリスティーが自分の死後に発表するように手配し、1940年代初頭に書き上げたそうです。
発表は1975年なので、私が12才の時。
まだ横溝正史ばかり読んでいて、クリスティに出会う少し前になります。
ポアロ最後にして最高の、そして衝撃の問題作です。
過去にイギリスの各地で起きた5件の殺人事件の全てに、Xという人物が絡んでいたことを突き止めたポアロは、Xに再び犯行をさせない、未然に防ぐために、Xが滞在する予定のスタイルズ荘に、親友ヘイスティングズを呼び寄せます。
体が不自由になっていた安楽椅子探偵ポアロの手足となって猟犬よろしく動き回り、嗅ぎ回るヘイスティングズ。
相変わらずの愚図っぷりでかなりハラハラさせられました。
誰がXかもわからない(ポアロは知っているけど)し、誰が狙われているかもわからないのに、不用意な発言をしてしまうのではないかという、スリリングな場面が相次ぎます。
Xに悟られないようにしなくちゃなのに、危なっかしいったらありゃしない。
しかも自らその毒牙にかかりそうになったりもして。
ヤバイよ、ヘイスティングズ!!
最後のポアロの決断が痛々しいです。
ちゃんとフェアに真ん中を、、。
そして、その後は神の慈悲があったと信じたい。
きっとあまり苦しまずに逝けたはずです。
ポアロの手紙に涙が出ます。
親愛なる友・ヘイスティングズへの思いが溢れているからです。
「思えばすばらしい日々でした」の余韻が凄い。
それはクリスティ自身の言葉なのでしょう。
評価は⭐5。
ポアロ作品をまだ7作品しか読んでないので(全部で33作品ある)、もっと沢山読んで、二人の友情をしっかり体験してから再読すれば、更にこの作品の価値がわかるのだろうと思います。
なので、この作品は、ポアロ&ヘイスティングズシリーズを数重ねてからにすることをオススメします!
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《そして誰もいなくなった》アガサ・クリスティー著(早川書房)
◎あらすじ、、、
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。
だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く………
そして不気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく!
強烈なサスペンスに彩られた最高傑作。
◎感想、、、
こちらも何十年ぶりの再読です。
この世で最も有名な作品と言っても過言ではないでしょう。
あまりに有名過ぎて、ネタバレ要素は覚えていたのですが、誰が犯人かは忘れていたので、初読のように楽しめました。
こんなことを最初に考えたクリスティは、なんて凄いのだろうと改めて思います。
今大流行りのバトルロワイヤルの先駆けじゃないですか。
そして、孤島や雪山などの閉鎖空間における、脱出・連絡手段のない連続殺人、、犯人はこの中にいる!!の元祖中の元祖です。
また、登場人物の描きわけも見事です。
元大佐や元将軍など、一見似たような経歴に思えるのですが、それぞれ個性豊かに描かれ混乱はしません。
加えて「アガサ・クリスティー完全攻略」にあるように、30頁に一人のペースで人が殺されるので、飽きることなく、一気読みできてしまいます。
ただ、その殺人には悲壮感はなく、解説の赤川次郎氏が言うように、人が次々死んでも残酷描写がないので、とてもさらっとしていて後味が悪くないので気持ちが楽です。
殺人犯が歩き回る音に恐怖する夜はとてもスリリングで、もはやホラー並みの恐ろしさでした。
最後の犯人の独白は、その狂気におののきます。
いやぁ、面白かった!
その後のミステリ作家たちに多大なる影響を及ぼした、ミステリ史上に残る最高傑作です。
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《52ヘルツのクジラたち》町田そのこ著(中央公論社)
◎帯、、、
2021年本屋大賞第1位
『王様のブランチ』BOOK 大賞2020受賞
読書メーターOF THE YEAR 2020第1位
◎あらすじ、、、
52ヘルツのクジラとはーーー
他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。
たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。
そのため、世界で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、
母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、
新たな魂の物語が生まれるーー。
◎感想、、、
何年も前からずっと積み本にしていました。
なぜもっと早く読まなかったのだろう。
とんでもなく素晴らしかったです。
読書中、ほぼずっと泣いていました。
でもそれは辛いからだけではなく、貴瑚の痛みやアンたちの優しさが沁みて、愛しかったり、切なかったり力強かったり、悲しかったり、希望に震えたり、、、色んな感情に揺さぶられたからでした。
52ヘルツという他のクジラには届かない周波数で鳴く世界で最も孤独な存在。
虐待されトイレの窓から外に向かって助けを求めても誰にも届かなかった貴瑚の声。
長く苦しんだ末に出会えたアン。
貴瑚の魂の叫びに気付いてくれたのがアンだったのに、そのアンの声を聴くことができなかったと苦しむ貴瑚。
必死に助けようとしてくれた美晴や村中という健全な存在があり、物語を暗いだけの話にしてないのもいいです。
クジラたちの金色の輪が弾けた瞬間に愛の声が届いた奇跡。
アンのお陰だったのでしょうか?
二人の魂が確かに共鳴したのでした。
ずっと海中にたゆたいながら、クジラたちの会話を聞いているよう不思議な感覚の読書体験でした。
この作品は凄い。
今年読んだ122作品の中で一番良かったです。
私自身、少し前に仕事で傷つくことがあり、気重な年末を過ごしていたこともあり、2025年の最後にこの作品に出会えたことに感謝します。
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以上、12月第5週に読んだ本は三冊でした。
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