【読書感想】クリスティ祭り継続中。『ポケットにライ麦を』『パディントン発4時50分』『ナイルに死す』2025年12月14日(土)
こんにちは。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
12月第2週に読んだ本を紹介します。
読了したのは、この三冊でした。
まだまだクリスティ祭り継続中🤣
いや、実は直木賞候補作が発表されたので、それを読み始めたいのですが、ちょいと事情があって、それは来週の課題となります。
(その理由は次のブログにて)
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《ポケットにライ麦を》アガサ・クリスティー著(早川書房)
◎あらすじ、、、
会社社長が何者かに毒殺された。
遺体のポケットにはなぜかライ麦が。
それは、恐るべき連続見立て殺人の端緒だった。
さらに社長宅のメイドが洗濯ばさみで鼻をつままれた絞殺死体で発見される。
彼女を知るミス・マープルは義憤に駆られ、犯人探しに乗り出す!
新訳で贈る、マザー・グースに材を取った中期の傑作。
◎感想、、、
怒れるミス・マープルの登場だ!!
ミス・マープルのこんな姿を初めて見た気がします。
殺人事件に巻き込まれた友人知人に頼まれて捜査に乗り出すことが多いミス・マープルが、呼ばれもしないのに自ら水松荘(イチイロッジ)に乗り込んできます。
どうやら、殺されたメイドは、ミス・マープルがかつて一緒に暮らし教育した、恵まれない娘だったらしいのです。
その娘が殺され、しかも鼻を洗濯ばさみでつままれて発見された!
なんてことだ!
そんな残酷で侮辱的な仕打ちをされるとは!
憤怒に駆られたミス・マープルは、やってきたのです、犯人に復讐するために。
「悪魔の手鞠歌」を彷彿とさせるマザーグースの歌を使った見立て殺人が行われます(こちらの方が発表は早いらしい)。
最初に殺された社長のポケットにはライ麦があり、次に殺された娘の死体の鼻には洗濯バサミ、三人目の被害者は蜂蜜を塗ったパン、そして、黒ツグミの死体。
全ては、冷酷無情の犯人が周到に準備した、捜査を撹乱するための策略だったのです。
それにしても、遺体の鼻に洗濯ばさみって、、そんなことやるから、ミス・マープルを敵に回しちゃった訳ですよ。
いつもは慈悲深い彼女ですが、怒らせたたら、まぁ必ず絞首台に送られますよね。
最後のミス・マープルの涙が印象的でした。
泣いてる姿も初めて見たかもしれません。
あの写真で、グラディスの悲しい人生への共感と、犯人への憎しみという、強烈な余韻を残すこととなります。
この作品も傑作ですね。
評価は⭐5に限りなく近い⭐4.5。
いや、やはり⭐5でいいか。
最後の絵が目に浮かんできて、今じわじわとこの物語の凄さを実感しているところです。
今のところ、ミス・マープルシリーズの中ではNo.1です。
『アガサ・クリスティー完全攻略』の中で、霜月蒼さんが「ミス・マープルがカッコいい」と書いていて、確かに!と思いました。
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《パディントン発4時50分》アガサ・クリスティー著(早川書房)
◎あらすじ、、、
ロンドン発の列車の座席でふと目をさましたミセス・マギリカディは窓から見えた風景に、あっと驚いた。
並んで走る別の列車の中で、いままさに背中を見せた男が女を締め殺すところだったのだ………
鉄道当局も、警察も本気にしなかったが、好奇心旺盛なミス・マープルだけは別だった!
シリーズ代表作、新訳で登場
◎感想、、、
やはりこの作品も面白い。
クリスティはホントに色んなことを思い付くなぁと感心しました。
ある老婦人が列車の窓越しに殺人を目撃するという衝撃的なシーンからスタートし、怪しい奴だらけのクラッケンソープ家へミス・マープルが手下を送り込んでの潜入捜査というワクワクの展開!!
スーパー家政婦ルーシーが活躍するのですが、そのあまりの有能ぶり(特に料理の腕前)に、男どもがみんなルーシーに惚れてしまって、まさか家主のいけすかないジジィまでもが求婚かい!と笑ってしまいました。
まぁ、その気持ちはわからなくはないのだけれど。
最後はまるで刑事コロンボのような罠を仕掛けるミス・マープル(勿論こっちの方が先だと思うけど)。
大胆不敵で、正義のためなら平気で嘘をつくミス・マープルの肝の座り方がカッコいいです。
犯人も被害者もわからないという、二つのフーダニットが中弛みすることなく楽しめました。
この作品は、最後の解説も興味深かったです。
書評家「前島純子さん」の解説の抜粋、、、
『《クリスティー文庫》という形で、これからクリスティーを読もうとする人は幸せだと思う。いわば、クリスティーランドというテーマパークができたようなものではないか』
、、、確かに!
本屋で棚ひとつ分を赤く染めるように並ぶこのシリーズは、正に『クリスティーランド』だわ!
真っ赤な背表紙のハヤカワ文庫は、ナンバーと探偵の名前がひと目でわかるようになってもいて、揃えやすいし、次はどれを体験しようかとパビリオンに走る時の気持ちで選ぶことができます。
さらに、解説は続きます。
『活字の世界では遅れてきたファンというものが存在せず、新旧の読者がほぼ平等に作品を論じたり楽しむことができるのがいい。生の舞台のように、「かつてのマリア・カラスを聴いた時は」だの、「先代の団十郎は別格でしたよ」だのと、こちらが手も足も出ない話でふんぞり返られ、悔しい思いをしなくて済むのだから。クリスティー未体験の方も、どうぞ気軽に、女王がつむいだミステリランドに足を踏み入れてほしい。』
、、、ほんとにそうだ。
誰とでも何度でも楽しめる、語り合える、それが読書の素晴らしさですよね!!
さぁ、物語の話に戻すと、、、
最後にひとつ謎が残りましたよ。
果たしてルーシーはどちらを選ぶのでしょうね?
いや、どちらも選らばない方に私は一票です!(笑)
あ、評価を忘れるところでした。
⭐は4.5。
トリックとか驚くものはなかったですが、終始楽しめる作品でした。
これぞ、エンターテイメント(霜月蒼さんの言)!
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《ナイルに死す》アガサ・クリスティー著(早川書房)
◎あらすじ、、、
美貌の資産家リネットと若き夫サイモンのハネムーンはナイル河をさかのぼる豪華客船の船上で暗転した。
突然轟く一発の銃声。
サイモンのかつての婚約者が銃を片手に二人をつけまわしていたのだ。
嫉妬に狂っての凶行か?
………だが事件は意外な展開を見せる。
船に乗り合わせたポアロが暴き出す意外きわまる真相とは?
◎感想、、、
高校時代に初読、10年前に再読、そして今回3回目の読了です。
犯人とトリックは何となく覚えていたのですが、それでも十分楽しめました。
むしろ、再読だからこその楽しみがあります。
おぉ、これは伏線だ、おっと、この会話が後の鍵になるな、、などと神のような目線で俯瞰できて面白いです。
事件が起こるまでの200頁にも渡る物語を飽きさせることなく読ませ、この先どんな事件が起こるのかと、ジェットコースターの頂点に向けゆっくり昇っていくような、静かな興奮を読者にもたらせます。
そして、事件が起きてからの、畳みかけるような謎、謎、謎!!!
今クリスティを続けて読んでいてわかることは、この作品が頭抜けて傑作であるということです。
犯人も魅力的だし、意外性もいいし、動機も納得でき違和感ゼロです。
被害者も皆ある程度殺されても仕方ないと思えるので(小説ならという意味)、気の毒に思う痛みが少なくていい。
事件を複雑にする重層構造の犯罪も巧妙で、謎の深まりがあって、謎解きが楽しいです。
憎めない犯罪者達に対するポアロの包容力も素敵でしたし、エンディングも見事だと思いました。
全てがパーフェクトな傑作で、今のところ私の中ではNo.1です。
「五匹の子豚」を鮮やかに超えてみせました。
これを読んだら、「ポケットにライ麦を」は⭐4.5かなと思っちゃう、いや、この作品を⭐⑤にすればいいのか(笑)
これは、困った!
⭐5では足りなくなってきたぞ🤣🤣🤣
余韻を楽しみたいので、映画を今日観てみようと思います。
クリスティ祭り、まだまだ続きますが、「直木賞祭り」を同時開催予定です。
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