50代からのお気楽山登り

これから山登りを始めようと思う方、ハードな山は無理だけど山歩きを楽しみたいという方に参考にして頂けたらと思います。山行記録と写真、行程図のイラスト、私なりの難易度を載せています。

【読書感想】10月に読み、聴いた本。2025年10月31日(金)

やまみほ

こんにちは。


いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。


10月に読んだり、Audibleで聴いたりした本を紹介します。


初めに私なりの評価を⭐で載せておきます。

最高評価は⭐5です。


◉ツバキ文具店(小川糸)⭐4

◉ベートーヴェン捏造(かげはら史帆)⭐3

◉いただきます。(喜多川泰)⭐3

◉世界でいちばん透きとおった物語(杉井光)⭐3.5

◉桜待つ、あの本屋で(浅倉卓弥)⭐3.5

◉小説(野崎まど)⭐4.5

◉連続殺人鬼カエル男(中山七里)⭐3.5

◉火喰鳥を、喰う(原浩)⭐4

◉スピノザの診療室(夏川草介)⭐4

◉ツミデミック(一穂ミチ)⭐4

◉朝が来る(辻村深月)⭐5

◉OSO18 を追え(藤本靖)⭐4

◉世界99(村田沙耶香)⭐3

◉たゆたえども沈まず(原田マハ)⭐5

◉リボルバー(原田マハ)⭐5

◉イクサガミ(地・人・神)(今村翔吾)⭐5

◉落日(湊かなえ)⭐3


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《ツバキ文具店》小川糸著(幻冬舎文庫)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


小川糸さん、初読みです。

Audibleで聴きました。

どうやらNHKのドラマになっているらしく、主役の多部未華子さんが朗読してくれています。

小川糸さんは命名センスが抜群ですね。

マダムカルピス、バーバラ婦人、ポッポちゃん、キューピーちゃん、パンティ(これは?)、男爵。

登場人物たちを少しユーモラスに愛嬌たっぷりに描いてくれます。

情景描写も楽しいです。

サイダーを飲んだ時の表現、、「口の中で小魚のようにピチピチはねた」とか「体の中を冷たいトンネルが貫通した」とか。

心の表し方もわかりやすいです。

「心の結び目がほぐれた」とか、、他にも沢山あったのだけど、Audibleだと言葉が流れていくので、書き留めることができず、その点は『聴く読書』の弱点ですね。

生きていくための指針となる言葉も多く出てきます。

「失くしたものを追い求めるより、手の平に残ったものを大切にすればいい」とか、、。

ポッポちゃんの代書屋としての仕事ぶりも見事です。

その手紙は、恋文だったり、絶縁状だったり様々ですが、依頼者の人となりや背景をヒヤリングし、その方の文字で、内容に合った紙と封筒とペンと切手を選んで、心を込めて代書していきます。

作者の文具に対する造形の深さを感じました。

どうやら単行本には実際の手紙に書かれた文字が登場するらしいです。

Audibleではわからなかったので、本を購入してみることにしました。

鎌倉愛に溢れていて、ポッポちゃんの散歩道を歩いてみたくなります。

また、文字を書くことを大切にしなくてはと思います。

バーバラ婦人の目をつむって「キラキラ~」という習慣を試してみたい。

寂しくなったら自分で「むぎゅーーっ」ってするのもいいかも。

心地よい読書体験でした。


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《ベートーヴェン捏造・名プロデューサーは嘘をつく》かげはら史帆著(河出文庫)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


大学時代の友人がAudibleで聴いていると話すと、別の友人が映画を観ようか迷っていて、面白いのかと聞いていたので、今流行ってるのか!?と思い、Audibleで聴きました。

偉大なる作曲家ベートーヴェン像を捏造したとされる秘書・シンドラーの物語です。

この作品を読むまで、私は『交響曲第五番』は『運命』という名前なのだと思い込んでいました。

でもどうやら、それすらも捏造らしいのです。

なので、ウキペディアで『交響曲第五番』を調べてみました。

すると、以下の説明が出てきました。

ええぇ、そーなんだ~!

日本の常識、世界の非常識じゃ~ん!!!👀


著者の一橋大学卒業論文が元になっていて、史実に則ったノンフィクションだと聞いていたのですが、シンドラーの屈折した心情や細かい会話は作者のイマジネーションで描かれていて、やはりこれは物語なのだろうと思いました。

前半は登場人物が多く名前が覚えられないし、なかなか難解だったのですが、ベートーヴェンの死後シンドラーが会話帳の改竄を始めてからは面白く聞けました。

それはあまりにも大胆不敵で、歴史的改竄を目の当たりにしているような臨場感がありました。

シンドラーがなぜそんなことをしたのか?

その歴史的問いに、真っ向から挑んだ学術論文だったのでしょうね。

ベートーヴェンに疎まれても彼の秘書という立場にすがり付き、必死に身も心も捧げているのに報われないシンドラーが気の毒に思えてなりません。

改竄は罪なことだったし、そこに自身の虚栄心がなかったかと言えば嘘になりますが、しかし何より作曲家を神格化したかった彼の揺るぎない意思だったのだと思うと、痛々しいような、愛おしいような気持ちにもなります。

その結果として、(『交響曲第五番』を『運命』と呼ばれるようにしたように)楽曲をプロデュースし、歴史をも変えた凄い奴だったのだとも言えます。

自分を嘘つき呼ばわりした証人たちが皆死に絶え、己のみが伝記を書けると狂喜乱舞した辺りは、まさに狂気じみていて、その辺を映画では面白可笑しく描くのだろうなと想像しました。

当時は録音技術などなかったのですから、作曲家が書いた譜面をどう演奏するかでその曲が初めて姿を現すのだというのは驚きました。

そりゃそうだよね、確かに!!

ピアニストは神(作曲家)の伝道者(イタコ)となり、ピアニストも神格化されてしまうことに、シンドラーは納得いかなかったのでしょう。

それほど彼にとってベートーヴェンは偉大で唯一の神だったのです。

全体的に論文ぽくて固い表現が多いのに、心情を現す時には「キモッ」などのイマドキのフランクな表現になっていて、思わず笑ってしまいました。

なかなか面白かったです。


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《いただきます。》喜多川泰著(AudibleOriginal)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


Audibleで聴きました。

どうやらこの作品はAudibleOriginalらしいです。

聴き終わって、読書メーターに感想を載せる時に気がつきました。

前に東野圭吾のAudibleOriginal作品を聴いて、めっちゃ時間を無駄にしたと思ってしまい、二度とAudibleOriginalは聴かない!と思っていたのに、気付かず聴いてしまったのですが、この作品は面白かったです。

喜多川泰さん、初読みでした。

自己評価が低く、いつも自分なんてと思いながら、楽に稼げる仕事を転々としていた主人公が、少しずつ変化していく成長物語です。

主人公・翔馬の本来の素直で思いやりのある心根が、守衛室で出会った人生の先輩方の言葉を真綿の如く吸い込んでいきます。

こんなに良い青年なのに、何故勉強ができなくなり、自堕落な生活を送り、自分の人生を終わっていると思うようになったのか疑問でしたが、最後に幼なじみの発言でその理由が明かされてスッキリしました。

元来頭が良く、何でも器用にこなせる才能を持っていたからこそ、ちょっとでもうまく行かないと嫌になって投げ出してしまうという弱点があったらしい、、確かにそういう人はいるかも知れません。

楽に稼げる仕事ばかり探し、辛抱なしだった翔馬が入院中の松原との会話で、「自分にできるだろうか」と問うと、松原が「まだ始まってもないじゃないですか」という場面が好きです。

人生80年としても18歳は一日の中で考えたら朝6時くらい。

まだ目覚めてもいない。

これから一日が始まるのですよと、松原は語ります。

「朝目覚めた時に、あぁ、もう一日は終わっていると思いますか?」

最期にそんな言葉を翔馬の心に残せた松原さんは幸せだったと思います。

人が命を終える時に、幸せだと感じるのは、自分の生きてきた何かを誰かの中に残せた(引き継げた)と思えた瞬間があるかどうかなのだと知りました。

全ての物質は同じものからできていて、レゴブロックのように組み合わせや形が異なるだけなのだという物理学の話は面白かったです。

雷が多い地域は作物が良く育つとか、だから七五三縄は雷の形なのだとか、、興味深いです。

また、一流になるとは、、自分にしかできないことをするとは、、という話はなるほどと思いました。

誰にでもできることを、誰にもできないところまでやる。

それを続けていれば、自分にしかできないことが分かり、それが一流ということなのだ、と。

若者の疑問に毎回こんなに饒舌に指針を与えることができる大人がどれだけいるか、それが三人も揃いも揃って、、という違和感はあったし、説教臭く感じる場面や、そんなに素直に思えるか!?という都合良すぎな展開も気になったけれど、全体として伝えたいことは良く伝わる、勉強になる読書でした。


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《世界でいちばん透きとおった物語》杉井光著(新潮文庫)


◎帯、、、

電子書籍化絶対不可能!?

“紙の本でしか”体験できない感動がある!

絶対に予測不能な衝撃のラストーー

ネタバレ厳禁!


◎うらすじ、、、

衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。


大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。

宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。

それが僕だ。

「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」

宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。

編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだがーー。

予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。


◎感想、、、


先日、コーチャンフォーでのトークショウで一緒に写真を撮ってもらった「杉井光さん」の代表作です。

ブックチューバーの「けんごさん」もオススメしていたので、読んでみました。

お話は亡くなった父の過去の悪行を聴いてまわり、皆が同じような証言をしていて大した面白みもなく退屈で、途中までは眠くて仕方ありませんでした。

が!

仕掛けがわかってからは眠気が吹っ飛びました。

え?もしかして、これも!?と思い、頁を最初まで戻して、『うわーーー、まじか!』と声が出ました。

大げさでなく、鳥肌立ちましたよ。

そういうこと~~!?

これは凄い、、作者も凄いが編集者たちも凄すぎる。

京極夏彦さんの小説もあんなに長いのにサクサク読めて全く長さを感じなかったのは、そうなるような工夫がされていたと知って驚きました。

これは電子書籍では醍醐味味わえないし、Audibleなんてなんもわからんわ🤣

すごいこと考える作家がいるもんだねぇ。

衝撃でした。

伏線回収もあって、あれもそれもこれに繋がるのかという物語としての面白さもありますし、そのことがこの様式にトライする理由でもあるわけで。

ネタバレ厳禁なので、何のことやらでしょうが🤣

読めばわかる!

紙の本でしか味わえないトリハダ体験でした。


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《桜待つ、あの本屋で》浅倉卓弥著(ハーパーコリンズ・ジャパン)


◎帯、、、

奇蹟、あります。

それは世界のどこかにある不思議な本屋ーー


◎裏帯

世界のどこともわからない場所にその本屋はある。

店の前には神秘的な桜が一本たたずんでいて、なかでは少女と三毛猫がコーヒーを淹れながら次の客が来るのを待ちわびている。

この店に来られるのは後悔や悲しみを抱えている人だけ。

店と客をつなぐのは一冊の本ーーー

桜の季節、そのページをめくったときに店への扉は開かれる。


◎感想、、、


読書会の友人・あこちゃんが表紙に惹かれて購入し、前回の読書会の中で紹介してくれました。

その時に「みほさんには合わないと思う。きっとつまらなかったと言うと思う」と言われ、なかなか貸してもらえなかったので、「そんなの読んでみないとわかんないじゃん!読んでみるから貸して!」と無理やり借りて読んでみました(笑)

なんとなく、私の感性を疑われているようだなと思い、悔しいような、残念なような気持ちになり、「みほさんには合わない」=「みほさんにはわからない」と言われたように感じたからです。

とはいえ、本当に私が読んで良かったと思えるのかどうか、自分でも不安ではあったのです、正直なところ🤣

何しろ日頃から重厚な文体とか、読みごたえある長編とか、刺激的などんでん返しとかが好きだと豪語していて、あこちゃんが面白かったと言った「spring 」 や「乱歩と千畝」の気に食わない点をあげつらっていた私ですので、まぁ、あこちゃんの不安がわからないわけではない(涙)

で、感想はどうだったかって話なのですが、、

いやぁ、めっちゃくちゃ良かったですよ!!

(あこちゃんに気に入られたくて言っているのでは決して無いです)

素直に感動して、心がじんわり温かくなりました。

垂れ桜の下にたつ本屋で、亡くなった人に出会えるという設定なのですが、それはモチーフであって本質ではないです(と私は思いました)。

作者が描きたかったのは「ネバーエンディングストーリー」です(と私は思いました、再録)。

人が想像しなくなったら、その世界は消える。

実体がなくても、多くの人がその言葉を知っていてイメージを共有できたら、それは存在しているのだ。

これがこの物語の核となっています。

奇蹟の世界への移行がとてもスムーズで、心地よく、ふわふわと夢と現実の狭間を揺蕩っているような時間でした。

特に認知症になっているおじいちゃんの話が好きでした。

もちろん、最後に語られる、この奇蹟の始まりの物語も。

夢(奇蹟)と現実との境い目に「パタン」と本を閉じる音があるのも素敵です。

「本とはまさに未知への扉だ」

これは常日頃から思っていることですが、もっともっと色んな本を読んでみようと思いました。

宮沢賢治とか、日本人の多くが知っているイマジネーションを私も共有したいと今さらながら思ったりもします。

私の父の好きだった本を桜の木の下で開いたら、私にもいつか会えるのでしょうか?

あこちゃんがファンタジーが好きだと言うのが、少し理解できた気がしました。

それより何より、この本の良さをちゃんと感じたられた自分にホッとしてます🤣🤣🤣


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《小説》野崎まど著(講談社)


◎帯、、、

2025年本屋大賞ノミネート。


全ての読者におくる小説の宝物。

心が動き、魂が震え、世界を取り戻す。

内海と外崎、たった二人の果てしない物語。


◎裏帯、、、

読むだけじゃ駄目なのか。


宇宙のすべてが小説に集まる。


最後の一行に、全てを込めて。


◎あらすじ、、、

5歳で読んだ『走れメロス』をきっかけに、内海集司の人生は小説にささげられることになった。

12歳になると、内海集司は小説の魅力を共有できる生涯の友・外崎真と出会い、二人は小説家が住んでいるというモジャ屋敷に潜り込む。

そこでは好きなだけ本を読んでいても怒られることはなく、小説家・髭先生は二人の小説世界をさらに豊かにしていく。

しかし、その屋敷にはある秘密があった。

それでも小説を読む。

小説を読む。

読む。


◎感想、、、


野崎まどさん、初読みです。

ターボに借りて読みました。

途中からファンタジーになるから戸惑うよと伝えられていたので、心構えが出来ていたのは幸いでした。

私はそこまで違和感なく受け入れることが出来ました。

『小説を読むだけでは駄目なのか』の問に答えるために、50年という歳月が必要で、それをリアルタイムに結実させるためにはファンタジーでなければ描けなかったのだと思います。

壮大な宇宙の成り立ちから、小説を読むことの意味を解き明かして行きます。

人の内側は言葉でできている。

でも内包しすぎると爆発して霧散し、壊れてしまう。

しかし、嘘であればその範囲は無限大だ。

そうすることで、人間の意味を増やせる。

外に出した嘘が小説なのだ。

だから読むだけでいい。

それが宇宙の万物のありのままの振る舞いなのだから。

作者はそう語ります。

最後の一行、ページをめくった先にある一文は、作者の強い意志(決意表明)と高らかに掲げた勝利宣言のように見えて、心が震え、しばらく動けなくなりました。

小説への感謝と敬意、読者への愛に満ちた物語であり、宇宙の誕生から小説を読む意味を模索した壮大なストーリーでした。

私も子ども時代にもっともっと本を読んでいれば、職業選択の幅が広がったのではないかと、現実的なことを後悔しました。

過去は取り返せないので、これから先の人生、自分も沢山の嘘を取り込んで、心のひだを深く刻み、密度の濃い意味を持った人間になりたいです。

そんな気付きを与えてくれた野崎まどさんに感謝します。


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《連続殺人鬼カエル男》中山七里著(宝島社)


◎帯、、、

要潤さん推薦!

常識までどんでん返しされました。

被疑者の責任能力を問う刑法第39条を描く怒涛のサイコ・サスペンス。


◎あらすじ、、、

口にフックをかけられ、マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。

傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。

街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だった。

警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。

無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の目的とは?

正体とは?

警察は犯人をとめることができるのか!?


◎感想、、、


移動中にAudibleで聴いて、帰宅して本で読みました。

重層構造に仕掛けられた作者の罠。

え?子供時代のあの子はアイツじゃないの!?

え?え?え?こいつ、誰だっけ???

思わずページを戻して確認しなければわからないほど、謎は巧みに深層に隠されていました。

確かに知能の違いは感じていたけれど、まさかまさか、そういうことだったのか、、。

あの部屋の異常さには私も気付いていて、これはきっと伏線だな、後でこの部屋が犯行現場になるんだろうなとは予想していたのですが、犯人が○○で、そういう展開になるとは~💦これもまさかまさかでした。

壁にナイフを突き立てながら一寸刻みに近づいてくる「ガッ、ガッ」という音、怖すぎますよ。

貴志祐介さんの「黒い家」並みの恐怖でした。

暴力・格闘シーンも容赦ない!

痛くて残酷な描写がこれでもかこれでもかと延々続きます。

まぁ、痛め付けられるのはほぼ古手川だったので、心のダメージはそれほどでもなかったですが🤣

だって古手川が迂闊過ぎて、青すぎて、なんなんだこいつは!となっていましたから。

あんたの思慕など興味ないから!と思っていたので、痛め付けられる様子に「ほら、言わんこっちゃない、ざまぁ」と思う自分がいました。

まぁきっと助かるだろうと思っていたからというのはあるのですが。

いやぁ、怖かった!

最後のどんでん返しも「うひょーーーっ!」となりました。

刑法39条の是非に関しては深みはないですね。

それを題材にしたエンタメに振り切った作品で、サイコ・サスペンスとして楽しめました。


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《火喰鳥を喰う》原浩著(角川文庫)


◎帯、、、

実写映画化決定!

2025年10月3日(金)全国ロードショー


◎うらすじ、、、

信州で暮らす久喜雄司に起きた2つの異変。

久喜家の墓石から太平洋戦争末期に戦死した大伯父・貞市の名が削り取られ、同時期に彼の日記が死没地から届いた。

貞市の生への執念が綴られた日記を読んだ日を境に、雄司の周辺で怪異が起こり始める。

祖父の失踪、日記の最後の頁に足された「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」の文字列。

これは死者が引き起こしたものなのかーー

第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作!


◎感想、、、


宮崎美子さんが半年ほど前に紹介していて、題名と共に表紙がとてもインパクトがあったので覚えていた一冊です。

読み終わって、改めて題名が秀逸だと思います

かつて戦地だった南方の島から遺族の元に戻ってきた亡兄の日記からは『生きたい』と願う強い思念が立ち上っていました。

日本に生きて帰ることが叶わなかった亡兄・貞市の日記から端を発した怪異の連鎖。

「有里子さんは心配ない」とはそういう意味だったのか、、と○○の策略と執念に驚きました。

主人公・雄司と保、復員した二人以外の悲惨な死人たちは、また違った世界で無事だと言うことなのでしょうか?

それで合ってますかね?

こういうパラレルワールドものは頭がこんがらがってしまいますww

戦場での過酷な体験を経て『生きたい』と願った貞市の渇望が昇華されることなく、長い年月をかけてまがまがしい存在となってしまった日記を悪用した、ある人物の人生大逆転の企みに、主人公も読者もまんまとはまってしまいました。

雄司の危機感のない態度にイライラしながらも、展開が読めない楽しい読書でした。

これはホラーサスペンスというジャンルでしょうか?

あまり映画でホラーは観ないのですが、今上映中みたいなので、観に行ってみようと思います。

巨大な火喰鳥、ジャングルでの戦闘シーン、火災、事故、様々な怪異と、エンタメとして見ごたえのある場面が沢山登場しそうな気がします。

映画の感想は後程、、、。


↓↓↓

映画を観て来ました!

全体に原作に忠実だけど、省略するところはうまく構成されていて、変に驚かす安物ホラー的なところも少なく、なかなか楽しめていたのですが、、

ラストシーンが原作と違ってました~!!!

あれは、改悪っていうやつだよぅ。

原作者さん、よく承諾したなぁ。

あれじゃ、パラレルワールドの辻褄が合わない。

原作読んでない友人たちも、劇場を出るとき???になってました。

私は原作のラストを知っているだけに、???ではなく、💢💢💢でした🤣

なぜあんなラストシーンを加えたんだ!!?監督!💢💢💢


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《スピノザの診察室》夏川草介著(水鈴社)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


夏川草介さんは、『本を守ろうとする猫の話』や『始まりの木』がとても好きで、その後ドラマにもなった『神様のカルテ』を読んだのですが、、

『神様のカルテ』の良さが私には良く分からなかったので、この方の医療系は合わないかなと思っていたのです。

しかし、この度Audibleの中のオススメにあったので、聴いてみました。

この本に登場するキャラクターは皆さん結構好きです。

特に雄町哲郎に魅了されました。

語る言葉は作者の言いたいことをそのまま代弁しているようで、説明臭いことは否めないのですが、それでもその思想の気高さは損なわれないと思いました。

その証拠に、辻さんの免許証のくだりは泣いてしまいました。

孤独に死んでいく人が世間への恨み辛みではなく、感謝の言葉を残して逝けるというのは、どんなに幸せなことか。

どんな成功者でも、最期にどんな心持ちかで、その人の一生が幸せだったかどうかが決まるのだと、改めて思いました。

その手助けをしたいと願い、思考し、行動する雄町先生のような医者に出会えた辻は幸せだったと言えます。

生きることに絶望している人の事を、懸命に生きている人には理解できないし、癌患者の苦しみが健康な若者にはわからない、しかし、それを目の当たりにする存在が医者なのですね。

世界はどうにもならないことが山のように溢れている、、けれどできることはある。

暗闇で震える隣人に外套をかけてあげること。

人の幸せとは何か?その答えを求めて雄町は科学者と哲学者の領域を行ったり来たりします。

そんな雄町先生を見て、南先生が思い描いた世界が良いです。

『哲郎の歩いて行った跡には点々と灯りがともり、その光は別の誰かを導き、また新しい灯りを生み出していくに違いない』

科学者の道を極める花垣との関係もまた良いです。

花垣の求めで内視鏡手術に立ち会った場面は、ドラマチックで、雄町先生が格好良くて、胸がスカッとしました。

ドラマだったら一番の見せ場、クライマックスですね。

甘い和菓子が沢山登場します!

長五郎餅を食べてみたい~。

ネットで検索してしまいました(笑)

最後は、あれ?これ、絶対続編があるじゃん!伏線回収できてないもの!、、と思ったその日の夜。

映画『火喰鳥を、喰う』を観に行って、待ち時間に立ちよった本屋に【ついに続編刊行!】とのポップと共に、、


書店の棚にありました。

なんというタイミング!

これは書店での出会いというやつか??

ということで、即購入しました(笑)

雄町先生と南先生のその後を追いかけなくては!!


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《ツミデミック》一穂ミチ著(光文社)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


息子が置いていった本です。

コロナ禍において、人々の日常が狂っていく様を様々な視点で描いている六編の短編集でした。

帯に『パンデミック✖️犯罪』とあったので、ミステリかと思いましたが、殺人や窃盗・詐欺といった大きな犯罪は出てきません。

、、、と書いたところで、あ、その一歩手前、あるいは限りなく黒に近いグレーが描かれていたのか、そういえば、、と思いました。

疑いだったり、未遂だったり、不可抗力だったり。

全体的に面白く読めました。

答えのない不穏な空気を切り裂く疾走感で終わる『違う羽の鳥』は、独特の雰囲気があり、一番好きでした。

仕事を失った元調理師が誰かのために食事を作る喜びを思い出す『特別縁故者』は、救いのある話でした。

ただ読み終わって、どんな本だったのかと振り返ると、それほど心に残っているお話がないんですよね。

私は短編集が苦手なのだと思います。

すぐに忘れてしまうのです(涙)

これが直木賞なのか、、、。

まぁ確かに先日直木賞を逃した同じような短編集『嘘と隣人』や『Nの逸脱』よりは、良くできた作品だった気がします。

コロナ禍での異常な状況を思い出して、日本中が恐怖に集団感染していたんだと思い出しました。

私は苛烈な報道やSNSの反応がバカバカしくて、ずっと山登りしていたので、その狂気に巻き込まれることはありませんでしたが、、隣人と距離が近い都会に住んでる人達は大変だったのだろうなと改めて思いました。


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《朝が来る》辻村深月著(文藝春秋)


◎あらすじ、、、

◎感想、、、


Audibleで評価が高かったので聴いてみました。

いやぁ、とてつもなく素晴らしかったです。

今月読んだ(聴いた)中で、ダントツ1位です。

最後は号泣してしまい、目を真っ赤にして出勤しました💦

辻村深月さんはリアルで容赦ない内面描写が凄いといつも思っていますが、今作品もやはり緻密で、全く異なる理由で悩み葛藤する二人の主人公(ひかりと佐都子)にどっぷり感情移入しました。

特に特別養子縁組で親となった栗原夫婦が素敵です。

不妊に悩み、夫婦で話し合い、特別養子縁組を選択した清和と佐都子。

朝斗を迎えてからの平凡な生活がとても愛おしく描かれます。

一方、中学生で妊娠したひかりは、出産後、なかなかに過酷な道を自ら選択していくことになります。

悪い事を親や周りのせいにして、自分勝手に振る舞う姿は、生意気なかまってちゃんに思え、その浅はかさに少々イライラしましたが、大人に反発した子どもだからなのだと思えば、わからなくもないです

ひかりの母親を毒親として描いているように見えますが、それはひかりの目線だからであって、自分が親でも同じことをしてしまう気がします。

彼女だって、娘の幸せな未来を目指して忠告しているのです。

子供時代は、やはり大人の言うことは、ある程度守るべきだし、そうすることで護られるのですから。

栗原家にとっては『広島のおかあちゃん』は朝斗をお腹の中で育ててくれた大切な人でした。

だからこそ、朝斗のためにあの手紙を書いたおかあちゃんのままでいて欲しい。

そう思う栗原夫婦の祈るような気持ちが痛いほど理解できました。

まだまだやり直せます。

だって、ひかりはまだ20歳なのですから。

朝斗の瞳の輝きがそう語っていました。

最後は声を出して泣いてしまいましたよ。

傑作だと思います。

辻村深月さんは、今まで6作ほど読んでいて、『かがみの孤城』や『傲慢と善良』はいずれもラストがちょっと切なくなる感じだったので、てっきりイヤミスを書く方なのだと思っていましたが、こんな幸せな余韻を残す作品も書いてくれるのですね。

これから(後れ馳せながら)追いかけたいと思いました。


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《OSO18 を追え》藤本靖著(文藝春秋)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


Audibleで聴きました。

2000年前後に北海道で人や家畜を襲い人々を恐怖に陥れたヒグマ『OSO18』を捕獲するため結成されたチームの責任者が記した記録です。

560日もの期間に渡り、たった一頭のヒグマを駆除するためだけに集まった男たちの地道な調査と熊との知恵比べ、発見のために奮闘する漁師たちのノンフィクションでした。

とても興味深かったし、会話もリアルで面白かったです。

650kmもの距離を移動する一頭のヒグマを追う作業は砂漠の中の針を探すようなものだといいます。

しかも相手はなかなかに頭が良く、しかも臆病なので、なかなか姿を現しません。

残すのは足跡と、そこに内蔵を食い荒らされた牛の死骸のみ。

自分の足跡を踏みながら後退し、足跡の残らない森に隠れじっと茂みに隠れて観察するのだと知り、その知力に驚きました。

足跡を辿っていったら、後ろから襲われるということです😨

牛を襲う時の侵入・逃走経路の割り出しや、罠を仕掛ける様子など、緻密に記録されていて、勉強にもなりました。

ハンターたちの経験に基づく技と知見も凄い!!

OSOが何故放牧中の牛を襲うようになったのか、それは全て人間の責任だったのです。

栄養価の高い草を植えるようになり、それを食べたエゾシカが増え、ハンターが駆除するが、処理が面倒で谷に不法投棄するようになり、森のあちこちにエゾシカの墓場が出来上がってしまった(涙)

それは熊が労せずしてご馳走にありつけるレストランなのです。

日頃は木の実や虫を主食とする熊がエゾシカで肉の味を覚え、たまたま倒れていた牛を食べて更に旨い肉の存在を知り、次第に肉食になっていく道筋が著者の見解として述べられます。

第2第3のOSOが現れる日も近いのでしょうか。

彼らの調査が今後の対策に活かされることを祈ります


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《世界99・上》村田沙耶香著(


◎あらすじ、、、


◎著名人の感想、、、


◎感想、、、


Audibleで聴きました。

な、なんなんですか、これは?

何が行われているの?

究極の思考実験!?

私の凡庸な頭では到底理解できない世界が描かれていました。

周囲に合わせて、相手が気持ち良くなるように自在にキャラを変える空っぽの空子。

彼女には感情がなく、あるのは、危険と安全を見極めるアンテナのみです。

いかに安全に楽に日々を過ごすかが大事で、母親を道具として利用しています。

その観察力と洞察力には目を見張るものがありますが、何しろ全て演技でキャラを使い分ける姿は異様で受け入れがたい(涙)

子供時代の出来事は、苦痛しかありませんでした。

大人になって、世界が大きく三つに分かれてからは、いくらか人の中にこういうのは確かに共存しているなとは思いましたが。

出てくる男たちが醜悪過ぎます。

男性読者はこれをどんな気持ちで読むのでしょう?

セックスは男による女の膣を使った自慰という表現は、直球過ぎて、笑ってしまいました。

こんなの読んだら女を今まで通りに誘うことはできなくなるんじゃないかな?

女は14歳で賞味期限切れ。

賞味期限を過ぎても使用期限はまだあるので、その存在は家事の道具で性欲の捌け口。

ラロロリン人って何なの!?

ピョコリンって一体!?

音との出会いでようやく空子の中に見つけられた世界99が動き出しました。

でも音って、、プロ友達の可能性もあるよね??

さあ、どうなるのでしょう。

先日読んだ野崎まどさんの『小説』では、本を読めば読むほど、自分の中に複雑なひだができ、心が豊かに、無限に拡がるという内容でしたが、この作品は、外からの影響で、中身がどんどん分裂して、結局空っぽになるというもので、正反対の理解だなと思っています。

上巻を読み終わり、まだ分厚い下巻があります。

うんざりしますがどんな着地を迎えるのか、見届けなければなりません💦


《世界99・下》村田沙耶香著


◎あらすじ、、、

◎感想、、、


何も分からなかった上巻から下巻に入り、最後はなるほど~!!となることを信じて聴き進めたのですが、結局上巻より更にわけわからんことになりました(涙)

ダメだ、私には理解できないです💦

搾取されることから逃れた空子が、何故に究極的に搾取され続けるピョコルンになることを選択するのだろう?

記憶が均一化され清潔な感情のみとなる人間の世界。

植物だけがグロテスクに繁殖する白い町。

人間が自然の一部であることを忘れた、倫理観がぶっ壊れた世界で気持ち悪さしかなかったです。

村田沙耶香さんは家事と男の性欲処理、出産・育児をする女性(主婦)を最下層の生き物だと見なしていて、それをずっと当たり前のように行ってきた人類の歴史に復讐したいのではないかと感じました。

なので、このディストピアでは、女性が家事と性欲の道具でなくなった点だけは肯定したいと思います。

印象的な表現は沢山ありました。

「人格が彼女に言葉を与え、自分が吐き出した言葉に支配される」

「人間の体の中には孤独が浮かんでいる。それはコントローラーに似ていて、それを掴むのに成功すると、目の前の人間をある程度操作できる」

、、、こういう会話による人の感情の変化みたいなことが、様々な表現で最初から最後まで語られていて、思考の奥底に分け入っていく感覚は、凄いと思いました。

なのですが、、ストーリーが、、、なかなか受け入れがたいのです。

この本で救われる人もいるのだと聞きます。

確かに、相手に呼応して変化する人格的なものは自分にもあると感じていて、そこを肯定されていると感じることもできるのですが、、。

それにかなり私の感情を揺さぶられたというか、脳髄に手を突っ込んでぐちゃぐちゃにされたような不快感が残っているので、何だかわからないけど忘れられない作品になるであろうことは確かです。

ただ、私は感動という人としての究極の娯楽を本から得たい嗜好なのだと思います。

この物語で感動はできなかったのです。 

世間でのこの作品の評価は高いので、私がつけた⭐3は、私の好みでなかったというだけの理由です。


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《たゆたえども沈まず》原田マハ著(幻冬舎)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


近々『ゴッホ展』を見に行く予定なので、7年前に読んだ本作を再読しました。

2018年4月に読書メーターに書いた感想は以下の通りです。


これが本屋大賞4位とは驚きだ❗今年の本屋大賞はレベル高い。マハさんの美術関係小説は多分余さず読んでいるが、最高傑作ではないだろうか。私がファンゴッホへの思い入れが強いことも一因ではあるが、それにしても素晴らしかった。弟テオとの魂の繋がりが、切なく胸が苦しくなる。題名も秀逸だ。彼が描きたかったものが形を変えて、オーヴェールであの傑作を生んだのか!鞄のくだりといい、様々な伏線を見事に回収し、マハさんのフィンセントへの胸焦がす憧れが、なぜ!?という思いへの答えを探しだした。研究論文であり最高のラブレターだった。


読み終えた後の興奮を思い出しました。

二回目なので、初読の時ほどのコーフンはありませんでしたが、当時よりも多少知識が増し、ゴッホの絵を思い描けるようになっているので、その点はより楽しめました。

二人で一人のようだった兄弟の切なさ、テオの愛と葛藤、フィンセントの孤独と渇望が描かれ、決してあの時の二人の側にいることができない未来の人間である作者の恋い焦がれる気持ちが描かれています。

フィンセントが生前に売れたのは、唯一『赤い葡萄畑』のみ。

100年、50年、いや、もう20年、遅く生まれていれば、、、二人に時代が追い付いたことでしょう。

7年前に読んだ時はフィンセントの孤独に心を掴まれてしまい苦しみましたが、今回はテオに共感してこれまた胸が締め付けられました。

絵を観て二人の生きた証を体感したい。

展覧会が楽しみです。


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《リボルバー》原田マハ著(幻冬舎)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、


ゴッホ展に行く前の予習第二弾です。

2021年夏に読み終えていますが、再読しました。

当時の感想は以下の通りです。


私はゴッホが好きだ。そんなゴッホのファンは世界中に星の数ほどいるだろう。そしてそんな人々は多分誰もが思う、「あの時代に生きてゴッホの側に寄り添いたかった」と。作者はそんなファンの一人である。あまりにも孤独でドラマチックな人生を過ごしたゴッホを想うたび、少しでも彼が幸せな時を過ごした、最期もきっと救いがあったはず、そうあってほしいと願ってやまない。そんな作者の果てしない願望から生まれた小説と言っていい。ゴッホを死に至らしめたリボルバー。その真相に迫る。ゴーギャンの苦しみも同時に描かれる。ゴッホ愛溢れたお話。


2021年に読んだ時は、原田マハさんの他の作品に比べて、少しだけ完成度が低いなと感じた記憶があるのですが、久しぶりに再読し、しかも『たゆたえども沈まず』を読んだ直後に読んで、4年前よりずっとずっと感動しました。

二回目からだからか、それとも連続でゴッホの物語を読んだからか、マハさんの言葉のひとつひとつに強い共感を得て、胸が震えました。

本当に素晴らしかったです。

原田マハさんのゴッホとゴーギャン(特にゴッホ)への愛が溢れていて(それは4年前にも書きましたが)、物語の中にもサエの言葉で語られる「出来すぎな話かもしれないけど、私は信じたいです」が、そのまま私の心情です。

「決して届かないと知っていても、彼らを見守り励ましたい。過去を変えられないと分かっていても、フィンセントもポールも決して不幸のうちに人生を終えたのではなかったと信じたい」

ただそのために研究し、望みを託し、物語を紡ぐ原田マハさんの切実さに心をうたれました。

原田マハさんのタブローの表現に気持ちが沸き立ちます。

「アルルの夏をひまわりの黄色が眩く彩り、サンレモの初夏をアイリスの青が凛々と縁取っていた。オリーブの枝葉は幾千の銀色の蝶となって風の中で乱舞し、夜半の糸杉は黒い塔に姿を変えて月夜を貫いていた」

こんな風に絵画を鑑賞する感性と表現力を持てたらなぁ。

遠く及びませんが、美術館で本物のタブローを見て、今は亡き画家たちの命の叫びを受取りたいと思います。


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《イクサガミ・地》今村翔吾著(講談社文庫)


◎うらすじ、、、

東京を目指し、共に旅路を行く少女・双葉が攫われた。夜半、剣客・愁二郎を待ち受けていたのは、十三年ぷりに顔を合わせる義弟・祇園三助。東海道を舞台にした大金を巡るデスゲーム「蠱毒」に、兄弟の宿命が絡み合うーー。文明開化の世、侍たちの『最後の戦い』を描く明治三部作。

待望の第二巻!〈文庫書下ろし〉


 

《イクサガミ・人》今村翔吾著(講談社文庫)


◎うらすじ、、、

東海道を舞台にした「蠱毒」も、残り二十三人。人外の強さを誇る侍たちが島田宿で一堂に会した。血飛沫の舞う戦場に神と崇められる「台湾の伝説」が現れ、乱戦はさらに加速するーー!

数多の強敵を薙ぎ倒し、ついに東京へ辿り着いた愁二郎と双葉を待ち受ける運命とは。

疾風怒濤の第三巻!〈文庫書下ろし〉


◎感想、、、

先が気になって、気になって、第二巻「地」の感想を書かずに第三巻「人」に進んでしまいました。

ヤバい、ヤバい、ヤバい!

面白すぎる~~!

面白さがどんどん加速して、全く止まれません💦

明かされた残り参加者の名簿に印をつけ、誰が生き残るか予想して読みましたが、好きなキャラが次々退場して行きます💦

そりゃそうだ、、東京に辿り着けるのは9人のみ!

私が好きなキャラはそれ以上なのだから、そりゃあ死んでしまう人も出てくるわけですよ。

丁寧に登場人物の過去を明かしてくれるので感情移入しやすいのもありますが、それぞれにキャラが立っていて、皆全く異なる魅力があり、備えている技も各自個性的で、戦闘シーンがとにかく格好いいのです。

島田宿での「眠」に対する、様々な武器を使った共闘戦線といい、進次郎のルール逆手の活躍といい、品川宿手前の列車上の激戦といい、胸アツ場面が多すぎます!

去っていく侍たちの散り際がまた美しいのです。

やっと出てきた甚六~~、素敵過ぎるぜ(涙)

また京八流の謎が解けてきました。

その慈愛に満ちた奥義が最後の切り札となるのでしょうか?

それとも、ここまでまだ愁二郎たちとまみえてない男が一人、彼が鍵となるのでしょうか!?

Netflixの放送が近くなってきて、未発表の役者が気になります。

「眠」は?

「陸乾」は?

「刀弥」は?

誰が演じるのでしょう?

最高に面白いです!

さぁ、東京最終決戦へ!

最後どうなっちゃうの~!?


📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖


《イクサガミ・神》今村翔吾著(講談社文庫)


◎うらすじ、、、

最終決戦、開幕。

東京は瞬く間に地獄絵図に染まった。

血と慟哭にまみれる都心の一角で双葉は京八流の仇敵、幻刀斎に出くわしてしまった。

一方の愁二郎は当代最強の剣士と相まみえることにーー。

戦う者の矜持を懸けた「蠱毒」がとうとう終わる。

八人の化物と、少女一人。

生き残るのは誰だ。


◎感想、、、

とうとう終わってしまいました。

愁二郎や仲間たちとの旅が終わってしまったのかと思うと、今は喪失感と寂寥感に包まれています。

これはイクサガミロスというやつでしょうか?

望んだ最後ではなかったのですが、読み終わってから思うと、確かにこの結末しかない気がします。

寛永寺の扉が閉められ光が糸のようになる場面、映像がありありと浮かびました。

それは武士の時代の終焉、、、。

好きだった人たちの余韻が残る最期をそれぞれ丁寧にドラマチックに描いてくれていて、作者の登場人物に対する愛を感じます。

皆が最期の瞬間、それぞれ誰かに思いを託して逝きました。

そこには誰かの為に生き死んでいく尊さがあり、その美しさ、潔さ、気高さが心に残って離れません。

後半は文字を追いながらずっと泣いていました。

京八流の兄弟たちの絆、それを託されて戦う時に死んでいった兄弟たちの声が聞こえる場面は、涙なしには読めなかったです。

最後は、「勝つために戦ってきた武士🆚️心・技・体の剣」の一騎討ちで終わりを迎え、明治は人を傷つけることのない平和な世となるはずだったのに。

そんな思いを託された後の日本人がこの後向かう未来を知っているので切ないです。

Netflixでどんな風に描いてくれるのか、、かなり複雑なアクションシーンがあるので、どこまで再現されるのでしょう?

双葉の存在の意味を分かりやすく描いてくれるといいなと思います。


📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖


《落日》湊かなえ著(ハルキ文庫)


◎あらすじ、、、


◎感想、、、

Audibleで聴きました。

サマリーに令和最高の衝撃と感動とありますが、それはさすがに大げさだろうと思いました。

面白くはありましたが、ハードル上げすぎた感ありです。

責任能力判定の是非は中途半端だし、全体的にモヤッとしています。

北川景子さんのナレーションだったのですが、二人の女性主人公の声もしゃべり方も全く同じなので、「私」が誰なのかわかりにくく、それぞれの過去が混乱してしまったのも、自分が迷子になった原因かも知れません。

脚本家が話しているのかと思って聞いていたら映画監督の方の語りだったり、その逆だったり、はたまた屋根から落ちた少女だったり、、💦

誰の思い出なのか、煩雑過ぎました。

みんな、それぞれが何かしらの傷を抱え、母親はどいつもこいつも毒親ばかり。

本で読めばもう少し理解できて、違った感想をもったのでしょうか?

陰の主人公である一家殺害事件の死刑囚をもっと掘り下げてくれたらずっとずっと面白いお話になったと思うのですが。

どこまでも外野があーでもないこーでもない言っているだけのようでした。

まぁ、それがこの物語のキモなのだから仕方ないか。

あえて死刑囚に語らせないで、真実に迫ろうとする二人のストーリーなのだから。

全てが繋がって、サラの悪意が明らかになった時のゾワッとした感じはさすがイヤミスの女王だなと思いました。

事故現場で後ろを振り返ったところを想像すると鳥肌が立つ💦💦

皆さん希望のあるラストで、これは白湊かなえだと言っている感想が多いのですが、主人公たちにとっては希望のあるラストでしたが、果たして死刑囚にどんな救いがあると言うのでしょう?

これを白湊かなえと呼ぶなら、黒湊かなえはどんだけなんでしょうね。


📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖📖


以上、10月に読んだり聴いたりしたのは、19作品でした。


今月のBEST5は、、、


✴️1位✴️ イクサガミ(神)(今村翔吾)


✴️2位✴️ 朝が来る(辻村深月)


✴️3位✴️ たゆたえども沈まず(原田マハ)


✴️4位✴️ リボルバー(原田マハ)


✴️5位✴️ 小説(野崎まど)


でした。


本選びの参考にしてもらえると嬉しいです。


いつもブログを応援していただき、ありがとうございます。





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