50代からのお気楽山登り

これから山登りを始めようと思う方、ハードな山は無理だけど山歩きを楽しみたいという方に参考にして頂けたらと思います。山行記録と写真、行程図のイラスト、私なりの難易度を載せています。

【読書感想】3月に読んだ本。2025年3月31日

こんにちは。


いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。


3月に読んだ本を紹介します。

3月に読んだのは以下の7冊でした。


《桜の下で待っている》綾瀬まる著(実業之日本社)


◎帯、、、

面倒だけれど愛おしい「ふるさと」

新幹線で北へ向かう5人を待つものはーー

胸の奥まで沁みる感動傑作


◎ウラスジ、、、

郡山、仙台、花巻……桜前線が日本列島を北上する4月、新幹線で北へ向かう男女5人それぞれの行く先で待つものはーー。

実家との確執、地元への愛着、生をつなぐこと、喪うこと……複雑にからまり揺れる想いと、ふるさとでの出会いをあざやかな筆致で描く。

心のひだの奥底まで沁みこんでくる「はじまり」の物語。


◎感想、、、

私は綾瀬まるさんの「骨を彩る」が傑作だと思っていて、読書会の中で皆に紹介するため、久しぶりに開き音読したら、彩瀬さん独特の瑞々しい表現で溢れていたので、またあの体験をしたいと思い本書を購入しました。

本屋の棚になんと6冊も並んでいて、この本がそれだけ人気があるんだと思って期待値があがり、無駄にハードルを上げてしまった感あります。

正直言って「骨を彩る」ほどのハッとする心情描写は陰をひそめ、全体的に普通でぼんやりした印象でした。

でも多分私の期待値が高過ぎたから、綾瀬まるさんの独特の文体を期待し過ぎたからだと思われます。

書店員さんの評価がとても高いみたいなので。

「骨を彩る」よりも読みやすいのは確かです。

サラサラ流れる小川みたいな感じ。

登場人物の心の葛藤は、小川にある小石みたいで、でも結局水はサラサラ流れて行くよというイメージです。

「ハクモクレンが砕けるとき」が一番好みでした。

5篇ある短編の中で、一番彩瀬さんらしかったです。

「心の中で、ひょん、と緑色のバッタが跳ねる」みたいなのをもっと読みかったな。



《君のクイズ》小川哲著(朝日新聞出版)


◎帯、、、

「このミステリーがすごい!2024年版」第7位

「ミステリが読みたい!2024年版」第2位

2023年本屋大賞第6位

第76回日本推理作家協会賞受賞作


クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。

そして読後、あなたの「知る」は更新される。

卓越したミステリーにして、新感覚なのにエモーショナルなエンターテイメント最前線!


◎アラスジ、、、

クイズ番組「Q1グランプリ」決勝に出場した三島玲央は、対戦相手・本庄絆がまだ一文字も問題が読まれぬうちにボタンを押し正解し、優勝を果たすという不可解な事態を訝しむ。

いったい彼はなぜ正答できたのか? 

真相を解明しようと彼について調べ、決勝を1問ずつ振り返る三島はやがてーー。


◎感想、、、

4時間ほどで一気読みしました。

話題になるだけのことはありますね。

面白かった!

クイズ番組を見ると、いつも回答者の頭の中を覗いてみたいと思っていました。

あんな問題の途中で、どうして答えにたどり着くのだろう??

不思議で仕方なかった。

でも今回は驚異のゼロ文字押し。

問題が出る前に答えるという離れ業。

物語では、そんなゼロ文字押しで優勝した対戦相手を分析し、なぜゼロ文字押しできたのか考察する過程が緻密に描かれます。

クイズ回答者の思考がどのように構築され、どこで確信を得るのか、素人にも分かりやすく解説されていて楽しかったです。

早押しボタンを押してから、限られた時間で記憶の泉をかき回し欠片を探す脳内作業が面白い!

その知識の泉は膨大な水量で、その中に過去に覚えた、あるいはチラッと見かけた記憶の断片がごちゃ混ぜに浮かんでいるのでしょう。

今後クイズ番組を観るのが益々楽しくなりそうです。

『(前略)本当は問題文の最後(9番目)まで聞かないと10番目にどんな数字が来るかは確定しない。だが、クイズプレーヤーは「そんな意地悪な数列が出題されるわけがないだろう」という信頼感のようなものを持っていて、ある程度の段階で押してしまう。その信頼感はこちらが一方的に抱いているだけのものだが、裏切られることはあまりない。自分で問題を作ったことのある人間なら誰でもわかると思うが、作問者は「できることなら誰かに正解してほしい」と思っている。正解の「ピンポン」という音は、解答者だけでなく、出題者も肯定する音なのだ』

な~るほどね~👀

『何かを知るということは、その向こうに知らないことがあるのだと知ることなのだ』

クイズプレーヤーの飽くなき探求心に強く惹かれました。

作者は、クイズという競技についてよく知るために、伊沢拓司さんの著作、およびQuizKnockの動画を参考にされたそうです。

私は東大王の頃から伊沢さんのファンです。

そうか著作もあるのか、、今度読んでみよう。

QuizKnockのYouTubeも見てみるかな。

、、、その後、QuizKnockの動画に爆ハマリして、読書量が激減、ブログも滞っている次第であります(泣)



《可燃物》米澤穂信著(文藝春秋)


◎帯、、、

『このミス』「週刊文春」「ミステリが読みたい!」1位(3冠!)

本格ミステリ✖警察

彼らは葛をよい上司だとは思っていないが、葛の捜査能力を疑う者は、一人もいない。


◎アラスジ、、、

太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。

県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。

犯行の動機は何か?

なぜ放火は止まったのか?

犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるに見えたが……(「可燃物」)

連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る五編。


◎感想、、、

米澤穂信さんによる硬派な警察小説、面白かったです!

無愛想で人に好かれようと微塵も思わない葛警部が、感情を表に出さず上司と交渉したり、部下に指示したりする場面がクールでカッコよく思えました。

信念を貫く敏腕刑事のプロの仕事ぶりが描かれます。

部下の報告から細かい情報を取捨選択し、事件の真相に辿り着くまでの推理は見事です。

ただほんの小さなミスも見逃さない鋭い眼力と、心の中で部下を切り捨てる冷徹さに、こんな上司の元にいたら、私なんかすぐに干されるわと思いました(笑)

現実世界も日々菓子パンとカフェオレで頑張ってくれてるのですかね?

米澤穂信さんは以前ターボから借りて読んだ「満願」もとても良かったんですよね。

その時に「山椒は小粒でピリリと辛い」という感想を持っていて、この小説もしかり。

短編集ですが、それぞれよく練られた話で、葛警部の推理が冴え渡り、満足感が高いと思いました。

米澤穂信さん、好きです。


《バーニング・ダンサー》阿津川辰海著(角川書店)


◎帯、、、

来た。

怒涛のどんでん返し。

阿津川マジックが炸裂する、最高の謎解き✖警察ミステリ!!


◎アラスジ、、、

「あの、私も妹も、交通総務課から来ました」。

そう聞いて、永嶺スバルは絶句した。犯人を挙げるための違法捜査も厭わなかった捜査一課での職務を失い、異動した先での初日。やって来たのは、仲良し姉妹、田舎の駐在所から来た好々爺、机の下に隠れて怯える女性、民間人を誤認逮捕しかけても悪びれない金髪男だった。着任早々、異様な事件の報告が入る。全身の血液が沸騰した死体と、炭化するほど燃やされた死体。ーー後に犯人は声明をネットにアップし、日本中を混乱と恐怖に陥れる。相棒を失った心の傷が癒えぬ永嶺は、この「警察庁公安部公安第五課 コトダマ犯罪調査課」のメンバーと捜査を開始した。彼らの共通点はただ一つ。ある能力を保持していることだったーー。

「すべての始まり」から、犯人の嘘は仕込まれている。

『大衆を煽動する殺人犯 VS “猟犬”と呼ばれる元捜査一課刑事』


◎感想、、、

100人のコトダマ使いがいる世界で、コトダマを悪用した犯人とコトダマで捜査する警察との異能力バトルものです。

設定はとても面白かったし、バトル場面は迫力もあってドキドキしました。

しかし、しかしね~、、登場人物の描き方が漫画みたいだし、復讐へ至る思考回路が理解できないし、組織内のやり取りが月9ドラマみたいでしらけてしまうのですよ(涙)

いくら異能力を持っているとはいえ、捜査経験のない面々が実戦ですぐに機能し始めるところも、いや、それ無理でしょ!?と思いましたし。

相棒を失って傷心中の主人公が睡眠薬をお守りにしてるのとか、繰り返し描かれるけど、もうええよって思っちゃうし、美しい女上司である三笠の描き方とか、なんか浅いんだよなぁ。

月9ドラマなら許せるけど、小説だとシラケるのはなんでなんでしょうね??

ツッコミ所満載でした(涙)

惜しいなぁ!!!

設定は面白いのだから、もっと人物深堀して緻密に描けば、「ジェノサイド」並みの傑作になる可能性あったのに、、。

最近参考にしているブックチューバーが絶賛していたので購入したのですが、そのブックチューバーは若い男性なのですよ(そもそもそんな人しかYouTubeやってない💦)

還暦過ぎたオバサンとは、好みが必ずしも一致しないのだなと気づけました。

まぁ、その失敗をこの後も続けることになるのですが🤣


《アリアドネの声》井上真偽著(幻冬舎)


◎帯、、、

巨大地震発生。

地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。

光も届かない絶対的迷宮。

生還不能まで残り6時間。

運命はドローンを操る青年の指先に託された。

絶望の淵に下りた、希望の糸の正体とはーー。

胸を刺す衝撃の長編ミステリー。

想像の限界を超えるどんでん返し。


◎アラスジ、、、

事故で、救えるはずだった兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから災害救助用ドローンを扱うベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)として活動する中川博美だったーー。崩落と浸水で救助隊の進入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も絶たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目の耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。 

無音の闇を彷徨う要救助者の女性と、過去に囚われた青年。

二人の暗闇に光は射すのかーー。


◎感想、、、

地震で地下に残された三重障害の女性をドローンでどうやって助けるか?という話でした。

う~ん、初めから終わりまでイマイチだったなぁ。

繰り返される「無理だと思ったら」の主人公の口癖は辟易だし、現場に度々現れる部外者の存在は疑問、ドローン操作する主人公一人に判断を任せ過ぎなのも違和感、地下組織の構造も理解困難で、全体的に入り込めない。

水や火災が迫る様子も残数字表示のみで大してドキドキしない。

最後は助かるに決まっていて、そこに向けてあーでもないこーでもないやってるだけって感じがしました。

ひどい感想ですね、、ごめんなさい(涙)

例のブックチューバーが激オシしていて、表紙もいいし、ストーリーも面白そう!とめちゃくちゃ期待して手に取ったのですが、期待ハズレでした。

これも設定はとても面白いのですから、もっと人物描写を緻密にして、消防の意志決定も細かく描き、構造ももう少し分かりやすく解説し、浸水の様子をリアルタイムに描いていけば、すごいスリリングで重厚な作品にすることができたはず!

もったいない!!!

最後のオチは、おおぉなるほど~とはなりました。

良かったのは最後のオチ、、これも知っちゃって読んだら、途中の謎解きのドキドキ(少しはした)が台無しになるから、、姫、終わりから読むなよ🤣

姫はそもそも読まないから大丈夫か(笑)


《少年と犬》馳星周著(文藝春秋)


◎帯、、、

人という愚かな種のために、神が遣わした贈り物

傷つき、悩み、惑う人びとに、寄り添っていたのは、一匹の犬だったーー。

犬を愛するすべての人に捧げる感涙作。


◎アラスジ、、、(読書メーターより)

【第163回直木三十五賞受賞作】

家族のために犯罪に手を染めた男。拾った犬は男の守り神になった―男と犬。

仲間割れを起こした窃盗団の男は、守り神の犬を連れて故国を目指す―泥棒と犬。

壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた―夫婦と犬。

体を売って男に貢ぐ女。どん底の人生で女に温もりを与えたのは犬だった―娼婦と犬。

老猟師の死期を知っていたかのように、その犬はやってきた―老人と犬。

震災のショックで心を閉ざした少年は、その犬を見て微笑んだ―少年と犬。

犬を愛する人に贈る感涙作。


◎感想、、、

久しぶりの号泣読書体験でした。

これは大当たりです!

今犬を飼っているので、尚更胸にきました。

初めのうち多聞と出会う人々が次々亡くなるので、これじゃまるで死神じゃないかと不穏な気持ちにもなりましたが、老人の「孤独と死の臭いを嗅ぎわけて」現れているのだという理解に心持ちが反転しました。

あぁ、そういうことだったのか、、と。

もちろん先の読める展開で、それを低く評価する人もいるようですが、それは裏切らない展開とも言えると思います。

最後、少年の言葉に救われた思いがします。

人より寿命が短い犬という存在。

別れはいつの日か必ずやってくるのですが、彼と過ごした日々は記憶に残り、心に灯りをともしてくれる。

最後は悲しい気持ちもありましたが、それよりも多聞が自分の役割をやりきって、幸せに最期を迎えられたのだと思える救いがありました。

生きとし生けるもの、必ずいつかはやってくる死。

命をどう全うするか、どれだけ役割を果たせたか、それが大切なのだと、多聞に教えてもらえた気がします。

犬に出会い救われ、再生する人々の物語でした。

素晴らしかったです。

帯の『人という愚かな種のために、神が遣わした贈り物』という理解、いいですよね。

この本を読んで、ひまとの日々を更に愛おしく感じ、残り少ないであろう時間を大切に記憶に留めたいと思うようになっています。



《エレファントヘッド》白井智之著(角川書店)


◎帯、、、

空前絶後の推理迷宮

伊坂幸太郎氏おすすめ

「面白かったです!カオスで残酷、猟奇的なのにちゃんとミステリをやっているのが笑っちゃうくらい凄い」


◎アラスジ、、、

⚠謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止⚠

精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことをーー。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。


◎感想、、、

いやぁ、辛かったです。

文体的にはサクサク読めるのですが、心がそれを拒否しちゃって、なかなか読み進められなかった~。

主人公が何人にも分離して、それぞれの世界に別の世界があるというのが、どうにも理解できなくて、混乱したし、グロテスクだし、感情が欠落してるし、わけわからん😵🌀

これは好みが分かれるなぁ。

これもやっぱりブックチューバーが絶賛していた作品です。

若い男の子たちはこういうのが好みなのか!?

推理はなるほどと思いましたが、、まぁ、私には合わなかったです。

読書会の友だちにもオススメはしないです。

でも私の頭が固いだけで、とんでも迷宮の重層推理という点で傑作なのかも知れません。

頭のいい作家さんであることは確かですね。

まぁ、凄かった、色んな意味で💦


📖📖📖📖📖


最後の作品を読み進めるのに時間がかかり、3月は以上です。


私のオススメ3冊は、「少年と犬」、「可燃物」、「君のクイズ」ですね。

それぞれ味わいが全く異なる作品でしたが、いずれも読み応え充分でした。


いつもブログを応援していただき、ありがとうございます。

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